【社長直撃】HUBが独り勝ちなのは、「儲からない」からだ

2020/2/5
日本の居酒屋・バー産業には、長らく逆風が吹いている。若年層の酒離れ、人件費や原材料の高騰、そして人口減少によって、じわじわと追い詰められている。
しかし、そんな不況下にあって、売り上げを実に20年間、伸ばし続けている大手チェーンがある。
英国風パブを全国に展開するHUB(ハブ)だ。HUBは驚くことに、2001年から今に至るまでの19年間、一度も閉店をしていない。
多くの外食チェーンが「選択と集中」の号令の下、業績の悪い店舗をたたみ、別の場所に新規出店をすることを繰り返している。その閉店や新規出店にかかるコストが、業績を圧迫する場合も少なくない。
一方でHUBは、確実に儲かる店舗だけを出店し、じわじわとその数を増やすことで、着実に成長するスタイルを貫いている。
なぜ、HUBだけが堅実にスケールできているのか。「居酒屋・バー離れ」が続く中、今後、どう舵取りをしていくのか。
太田剛社長に、そのユニークなビジネスモデルをじっくりと聞いた。
太田剛(おおた・つよし)/ハブ社長
1961年、兵庫生まれ。大阪経済大学を卒業後、ダイエーの子会社だったハブに入社。1998年に現在のハブが設立。取締役営業本部長等を経て、2009年に現職。
儲からないから、儲かる
──外食企業が軒並み苦しんでいる中、なぜHUBは絶好調なのでしょうか。
誤解を恐れずに言えば、「パブ業態が、儲からないビジネスモデルだから」でしょう。それが参入障壁となってライバルを減らし、売り上げや利益につながっています。
一店舗当たりで比べると、パブ業態は、一般的な居酒屋の半分程度しか、売り上げや利益を出せません。
理由は大きく2つ。1つ目は、客単価が低いためです。
フードメニューがおつまみ程度の軽食しかない上、アルコールの価格も200〜400円と安い。
また、キャッシュオンデリバリーという支払い方法は、注文のたびにお金を払う必要がある上、自分で注文カウンターに行かなくてはなりません。そのため、後でまとめて払う方式よりも客単価が下がります。
そして、もう1つの理由は、新規出店の初期投資の回収に約6年もかかる点です。一般的な居酒屋は約3年で回収するとされているので、パブは2倍かかることになります。
──一般的な居酒屋では、新規出店にかかる設備投資は3000万円程度と言われています。HUBの場合はどのぐらいですか。