AIに「スペースシャトルに乗る犬」は描けない

2020/2/7
NewsPicksアカデミアでは、各分野の最先端を走る“実践者“たちを講師に迎え、MOOC(オンライン講義)、イベント、ゼミ、書籍、記事などを通じて、最先端の実学を提供しています。

今回は2019年12月3日に開催された「AI時代を生き抜く!大人が身につけるべきFuture Skill」の模様をまとめたイベント動画を配信。

ここでは、動画の見どころの一つ、登壇者であるオックスフォード大学 准教授 マイケル・A・オズボーン氏が語った「AIのクリエイティビティとその限界」についてお届けします。

AIが創造する「犬らしさ」

オズボーン 人間の「オリジナリティ」や「クリエイティブ」な部分は、AIに取って代わられないと言います。
 しかし、本当にそうでしょうか。それを考えるうえで、まずはこちらの写真をご覧いただければと思います。
 信じられないかもしれませんが、これは「アルゴリズムが描いた犬」です。
 パッと見では、犬にしか見えないですよね。
 しかし、じっくり見ると、足が3本あったりします。また半分に分かれていたり、尻尾に穴が空いている犬も...。
 ちなみに、この芝生などもAIにとって「犬らしさ」に含まれています。芝生の上にいるのが「犬らしい」というのは、AIも学習済みで、それらしいクリエイティブは作れます。
 しかし「スペースシャトルにいる犬」や「病院にいる犬」は、AIのクリエイティブにはありません。それは入力されるデータが足りないからです。
 こういった観点は、人間にしか持ちえません。
 もう一つ事例として紹介したいものがあります。
 オタク的な気質を持った私は、左図のようにコンピューターゲームをしていました。
 このような図をみるとワクワクしてしまいます。しかしAIにはその気持ちが理解できない。
 なので、AIには「画像を作ること」はできますが、それが人間の「琴線に触れるか」まではわからないのです。
 左図は、オタクにとって堪らない画像です。しかし、AIにはそれが理解できません。
 先ほど示した犬の画像のように、アルゴリズムが作った画像には「犬らしさ」が込められています。
 しかし、コンピューターゲームの画像のような従来のコンテキストから離れたものは、まだ作り出せません。
 「クリエイティビティ」の分野では、まだこういった点に人間の優位性が認められます。
 皆さんが楽しめない人生になってしまうのか。あるいは仕事が生活の大部分になる中で、皆さんがワクワクできる未来を作れるのか。
 まだまだ私たちの手の中にあると考えています。
アカデミア会員の皆様は、こちらで動画の全編をご覧いただけます。

来週2月14日(金)はイベント動画 山形浩生✕柳瀬博一「ビジネスパーソンのための『21世紀の啓蒙』入門」を配信する予定です。

動画を通じて、アカデミアの「知」に触れていただければ幸いです。来週以降の配信もお楽しみに。