[ニューヨーク 3日 ロイター] - 株式時価総額が1兆ドルを超える企業はハイテクやインターネット関連が多いが、次はクレジットカード会社の番かもしれない。

クレジット・デビットカード大手ビザ<V.N>とマスターカード<MA.N>の株価は、いずれも過去1年間に約50%も上昇。1月30日時点の時価総額はビザが約4490億ドル、マスターが約3240億ドルで、米S&P500種総合株価指数の中でそれぞれ7位と11位に付けている。

現在、「1兆ドル企業」にはアップル<AAPL.O>、マイクロソフト<MSFT.O>、グーグルの親会社アルファベット<GOOGL.O>、アマゾン<AMZN.O>などが名を連ねる。

どの銘柄も過去3年間の年平均上昇率が今後も続くと仮定すれば、ビザとマスターの時価総額は2023年までに1兆ドルに達し、フェイスブック<FB.O>やバークシャー・ハザウェイ<BRKa.N>を抜き去る。

ビザ、マスター株の上昇に火を付けているのは、オンライン・ショッピングの興隆によるキャッシュレス決済への移行だ。

ビレール・バランスド・ファンドのポートフォリオマネジャー、サンディー・ビレール氏は両社について「順風満帆だ。銀行、消費者、商業者の文字通り中間に位置し、だれもがうらやむ立場にある」と説明する。

リフィニティブのデータによると、ビザとマスターの収入はいずれも過去5年間でほぼ倍増し、それぞれ約230億ドル、約170億ドルとなった。この間、両社の1株当たり調整後利益は、ともに2倍以上に増えた。

モフェットネイサンソンのシニアアナリスト、リサ・エリス氏によると、中国を除く世界で、消費者の買い物に占めるデジタル決済の割合は、10年の28%から現在は43%に拡大した。

エリス氏は「世界中に浸透するにはあと5年から10年かかる」と言う。

エリス氏によると、クレジット・デビットカード市場のシェアはビザが60%、マスターが30%で、アメリカン・エキスプレスは8.5%と後塵を拝している。

ビザとマスターは金融業界の重要な存在であるにもかかわらず、S&P500種指数では情報技術(IT)セクター<.SPLRCT>に分類されている。このセクターで注目を集めることが多いのはアップルやマイクロソフト、インテルなどの株だが、IT株指数の上昇に大きく貢献してきたのはビザとマスターだ。

両社の株価収益率(PER)は、少なくとも過去10年間で最も高くなっている。リフィニティブ・データストリームによると、ビザは今後1年間の予想利益に基づくPERが32倍近く、マスターは35倍。

エリス氏によると、両社のリスクとしては、決済事業での巨大ハイテク企業との競争激化や、世界各地の当局による規制強化が挙げられる。

両社も手をこまねいているわけではない。ビザは今月53億ドルを投じ、金融とITを融合するフィンテックの新興企業プレイドを買収。マスターは昨年8月、北欧の決済グループ、ネッツから企業向けサービス事業の過半数株式を約31億9000万ドルで取得した。

(Lewis Krauskopf記者)