【直撃】中国傘下で復活。三洋電機・AQUAの「尖った」DNA

2020/1/29
近年、日本の家電メーカーが相次いで外資に取り込まれている。
シャープは台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)に、東芝の白物家電事業は中国の美的集団(ミデア)の傘下に入った。
この流れを最初に作ったのが、2012年に中国家電大手のハイアールに買収された旧・三洋電機の白物家電部門だ。
経営危機に陥った三洋電機を子会社化したパナソニックは、2011年に旧三洋電機の冷蔵庫と洗濯機事業をハイアールに譲渡した。
その冷蔵庫と洗濯機事業をハイアール傘下で会社化したのが「AQUA(アクア)」だ。旧三洋電機時代のブランド名を冠したこの会社は、2018年に純利益4億6400万円、利益剰余金3億700万円で黒字化を達成している。
三洋電機といえば、洗剤不要の洗濯機や、今も人気を維持する炊飯器「おどり炊き」を生み出し、「尖った」製品開発で鳴らした家電メーカーだ。
その三洋電機らしさが、アクアで再び頭角を現しつつある。
中国企業に買われることは、日本の家電メーカーにとって「幸せ」なのか──。
外部より招へいされたアクアジャパンの吉田庸樹代表と、三洋一筋で家電を作り続けてきた森田昌治副代表に、その問いをぶつけてみた。
【写真左】吉田庸樹(よしだ・つねき)アクアジャパン代表。57歳。1986年キヤノン入社後、約15年間、北米のマーケティングを統括。船井電機執行役員を経て、2017年より現職。
【写真右】森田昌治(もりた・まさはる)アクアジャパン副代表。1986年三洋電機入社後、20年以上にわたり冷蔵庫事業を担当。AQUAブランドの立ち上げメンバーとしても従事し、2016年より現職。

2度の買収で開き直り

──森田副代表は三洋側の先鋒として、ハイアールへの事業売却に立ち会ったそうですね。当時の社内はどうでしたか。