【新戦略】アマゾンで台頭したメーカーが「リアル店舗」を目指す

2020/1/31
かつて「家電」と言えば、パナソニックやソニー、シャープ、日立製作所、三菱電機、東芝、三洋電機(現パナソニック)など大手メーカーの花形事業だった。
しかし今は、外資企業を含めた事業の売却、撤退など再編が進んでいる。大企業だけが家電を作れる時代は終わり、今や新興メーカーがどんどん参入してきている。
彼らは、既存の大手メーカーと異なり、流通・販売を家電量販店に依存するのではなく、むしろ、スモールスタートができるEコマース(ネット通販)に活路を見いだした。
Eコマースによって、ユーザーにダイレクトに製品を届けられるようになり、次々と新しいメーカーが生まれている。
Eコマースの直販で伸びた新興メーカーの中でも、ユニークな戦略で急成長を遂げているのがアンカー(Anker)だ。中国の湖南省・長沙市と広東省・深セン市の2カ所に本社機能を構えている。
アンカー日本法人がパルコ渋谷に出した直営店(写真:同社提供)
アンカーは2011年に、スティーブン・ヤン氏(現CEO)がグーグル時代の元同僚らと創業。
現在ビジネスを展開している市場は、アメリカやヨーロッパ、日本など100カ国以上に達し、モバイルバッテリーからロボット掃除機までさまざまな家電やガジェットを世の中に送り出している。
グローバルでの売上高は、2014年に100億円を超え、現在は、アメリカ市場を中心に1,000億円規模の売り上げを誇るメーカーになった。従業員は1500人規模にまで増えている。
日本には2013年に進出し、売り上げは110億円に達し、アンカー全体から見ても日本はアメリカに次ぐ2番目の市場となっている。
アンカーは尖った製品を開発しているだけでなく、流通戦略も新しい。
当初は、アマゾンを中心とするEコマースに注力し、そこで得た知見を製品の改善に生かし、今は、リアル店舗にもどんどん進出しようとしている。
アンカーは、日本においても独自の流通戦略を取っている。
アンカー日本法人を率いる井戸義経社長に、アンカーが実践している「逆転の発想」の家電流通について語ってもらった。

アマゾン重視は「必然」だった

──アンカーは、アマゾンを中心に販売する戦略で売り上げを伸ばしてきました。今は何%くらいがアマゾン経由なのでしょうか。