【三浦崇宏】「イノベーション」はすべて言葉から生まれる

2020/1/26
新刊『言語化力(言葉にできれば人生は変わる)』(SBクリエイティブ)が発売前にアマゾンビジネス書で1位、発売翌日にはたちまち売り切れ、増刷……と話題沸騰中のGO代表・三浦崇宏氏が「言葉の力」を解き明かすインタビュー。
最終回は「人を動かす」言葉の力にせまる。
【新】言葉を制するものが、「人生100年時代」を制す

言葉の定義を「アップデート」せよ

──ところで、三浦さんにとって「嫌いな言葉」はありますか?
三浦 言葉って、言葉自体に良いも悪いもないんですよ。
もちろん、あからさまな差別的表現などは話が別ですが、例えば「肥満」という言葉なんて、ただのファクトですよね。
けれども、その使い方によって、言葉は毒にもなるし、薬にもなる。だから、嫌いな言葉はないけれど、嫌いな「使い方」はあるということになる。
もっと言うと、「肥満」という、現段階ではファクトでしかない言葉も、10年後には差別用語になっている可能性があるわけです。
(efks/Getty Images)
だから、言葉狩りをするつもりはありませんが、「言葉の使い方は、年々変化していく」ということは、誰もが頭に入れておかなくてはならないと思います。
モラルというものは、時とともにアップデートされていく。10年前には面白かったはずのギャグが、今の時代には顰蹙(ひんしゅく)を買うとか、普通にある話ですよね。
同様に、言葉の概念も時代とともにアップデートされていく。だから、そのことに対してセンシティブでなくてはいけないと思います。
言葉の使い方が変わっていくというのは、意外と盲点だと思うんですよ。だから、少なくとも「言葉はアップデートされるものだ」という認識を持っていることが大事。そうすれば、いろいろな変化をキャッチできるはずですから。

数字は「映像」を喚起できない

──『言語化力』の中では、人を動かすには「数字の論理より、言葉の論理」というフレーズも印象的でした。数字に頼りがちな人は耳が痛いかもしれません。
数字の論理とは、「過去」の数字を見て判断すること。一方、言葉の論理とは「未来」への意志を信じて意思決定することです。