[24日 ロイター] - <為替> 円が対ドルで上昇し、109円台前半で推移した。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が懸念される中、安全資産とみられる円が買われた。

米疾病対策センター(CDC)は24日、米国内で2人目の新型肺炎の感染を確認。さらに全米22州で63人が検査対象と明らかにした。こうした中、中国での新型肺炎による死者は26人になり、発症者は800人を超えた。[nL4N29T2P6]

円は対ドルで0.2%高の109.24円。

アクション・エコノミクスの国際為替分析部マネジングディレクター、ロナルド・シンプソン氏は「新型肺炎を巡る状況悪化で安全資産への買いが広がった」と述べた。

こうした中、ユーロ/ドルは0.23%安の1.1027ドルと8週間ぶりの安値近辺。ユーロ圏の1月購買担当者景気指数(PMI)は総合指数が50.9と市場予想の51.2を下回った。

ポンド/ドルは0.33%安。一部の市場関係者らは引き続き英中銀が来週30日の政策決定会合で利下げを行うと予想している。

カナダドルは約0.13%安。新型肺炎の拡大に伴う原油安が売りを誘った。

<債券> 国債価格が上昇し、利回りが4日連続で低下した。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染がアジア地域だけでなく米国や欧州の一部に拡大していることを受けリスク選好度が低下し、安全資産に買いが入ったことが背景。

この日の取引では30年債利回りが約3カ月ぶりの低水準を付けたほか、10年債利回りは約2カ月ぶり、2年債利回りは2週間ぶりの水準に低下した。

新型コロナウイルスに対する懸念が広がる中、長短金利差が縮小し、2年債と10年債の利回り格差は一時18.78ベーシスポイント(bp)まで縮小。5週間ぶりの低水準となった。

週初からは10年債利回りが約15ベーシスポイント(bp)、30年債利回りが約16bp低下。週間の下げとしては10年債利回りが約3カ月半ぶり、30年債利回りが4カ月ぶりの大きさとなった。

新型ウイルスの感染拡大を受け、中国では10都市で公共交通機関の運行を停止。この日は米国で2人目の感染が確認されたほか、フランスでも2件の感染が確認された。[nL4N29S48M][nL4N29T2P6][nL4N29T2VD]

アメリベット証券(ニューヨーク)の米金利部門責任者、グレゴリー・ファラネッロ氏は「新型ウイルスの感染拡大で市場は明らかに動揺している」と指摘。

FHNフィナンシャルの首席エコノミスト、クリス・ロー氏は「新型ウイルスの感染拡大による経済的な影響は未知数だが、押し下げ要因となる可能性がある。発生源の中国湖北省武漢市、およびその周辺都市で実施されている検疫ですでに人の移動が制限されており、感染に対する懸念で経済活動が一段と阻害される恐れがある」と述べた。

その上で、感染拡大が封じ込められれば経済成長見通しに対する大きな脅威にならない可能性があるとしながらも、有識者の間では世界的な感染拡大を防止するにはもはや手遅れとの見方が出ていると指摘。「世界的に感染が拡大すれば、世界経済の成長は鈍化する。感染拡大が封じ込められたあとの回復については、現在はまだ初期の段階にあるため何とも言えない」と述べた。

終盤の取引で10年債利回りは1.682%と、前日終盤の1.739%から低下。一時は1.67%と、約2カ月ぶりの低水準を付けた。

30年債利回りは2.14%と、2.182%から低下。一時は2.121%と、約3カ月ぶりの低水準を付けた。

2年債利回りは1.494%と、1.518%から低下。一時は1.478%と、2週間ぶりの低水準を付けた。

米連邦準備理事会(FRB)は来週に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定すると予想されている。

<株式> 下落。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を巡る懸念から幅広い銘柄に売りが広がった。

米疾病対策センター(CDC)がこの日、米国内で2人目の感染者を確認したと発表したことを受け、主要株価3指数は軒並み大きく下落。とりわけS&P総合500種の1日の下げ率は約3カ月ぶりの大きさとなった。

週足では、ダウ平均とS&Pが昨年8月以来の大幅な下げを記録。ナスダックも7週間ぶりに下落した。

レノックス・ウエルス・アドバイザーズの最高投資責任者、デービッド・カーター氏は「市場は不透明性を嫌う。新型コロナウイルスは市場にかなりの不透明性をもたらしている」と指摘した。

中国当局によると、新型肺炎による国内での死者は23日時点で26人、感染者は830人に達した。[nL4N29T2WN]

一方、CFRAリサーチの首席投資ストラテジスト、サム・ストーボール氏は「新型コロナウイルスは利益を確定させるための口実に過ぎない」と指摘。キングスビュー/アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャー、ポール・ノルテ氏も「相場は割高なため、市場は下落する理由を求めていた。新型ウイルスはその理由だ」と述べた。

個別銘柄ではインテルは8.1%高で終了。前日発表した第4・四半期決算は、利益と売上高が市場予想を上回った。通年の売上高見通しも予想を上回り、半導体業界が長い低迷期から脱しつつあるとの市場の見方を後押しした。[nL4N29S4X2]

アメリカン・エキスプレス(アメックス)も2.8%高。第4・四半期の業績が好調だっことを受け、取引時間中には過去最高値を更新した。[nL4N29T2RJ]

米企業の第4・四半期決算の発表が本格化する中、来週はアップル、マクドナルド、スターバックス、テスラ、アマゾン・ドット・コム、ボーイング、フェイスブック、キャタピラーなどの発表が予定されている。

ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.33対1の比率で上回った。ナスダックでも2.94対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は79億6000万株。直近20営業日の平均は71億3000万株。

<金先物> 新型肺炎の世界的な拡大への懸念が強まる中、続伸した。中心限月2月物の清算値は前日比6.50ドル(0.42%)高の1オンス=1571.90ドルと、今月7日 以来約2週間半ぶりの高値となった。

米疾病対策センター(CDC)は24日午前、新型コロナウイルスによる肺炎をめぐり、米国内2人目の感染者が確認されたと発表。これまでに22州で63人が検査対象となっていたことも明らかになった。この報をきっかけに安全資産とされる金塊を買い戻す動きが活発化し、相場はプラス圏に浮上した。

中国湖北省武漢市で発生した新型肺炎は、西部青海省とチベット自治区を除く全土に拡大。これまでの集計で、同国内の患者数は800人を超え、26人が死亡した。25日の春節(旧正月)前後には延べ30億人の移動が見込まれており、世界的な感染拡大への警戒感が強まっている。

金塊現物相場は午後1時半現在、8.515ドル高の1572.565ドル。

<米原油先物> 中国での新型肺炎拡大が石油需要減退を招くとの懸念から売り込まれ、4日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値は前日比1.40ドル(2.52 %)安の1バレル=54.19ドル。4月物の清算値は1.41ドル安の54.20ドル。

中国政府は24日、新型コロナウイルスによる肺炎の国内患者数が同日午前0時までに830人となり、うち25人が死亡したと発表(黒竜江省は個別に死者1人を公表)した。中国では春節(旧正月)連休前後に延べ30億人が移動する見込みだが、人気の観光スポットが相次ぎ営業を中止するなど、消費下押しの懸念も浮上。エネルギー消費大国である中国の景気悪化への警戒感から、原油市場は朝方から売りが先行した。

さらに、米疾病対策センター(CDC)はこの日、米国内で2人目の新型肺炎感染者が確認されたと発表。これを受けて、投資家のリスク回避の動きが一段と活発化し、米株価が下げ足を速める中で、原油も売られた。米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが24日公表した同日時点の国内石油掘削リグ稼働数が前週比3基増の676基となったこともやや重しとなったもようだ。

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