【証言】OYO幹部が明かす、「激動の1年間」の舞台裏

2020/1/26
俺たちは絶対、「第二のWeWork」にはなりたくない──。
昨年秋、インドの不動産企業OYOは、大きな方針転換を決断した。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから出資を受けるOYOはそれまで、圧倒的な資本力を背景に、世界中で不動産ビジネスを展開してきた。
重視するのは、あくまでもマーケットシェア。短期的な収益性は二の次に、世界中で多くの不動産をOYOブランドで染め上げてきた。
日本でも12兆円と言われる賃貸マーケットに参入し、約半年で8000室以上を確保している。
しかし、この拡大戦略は、転換を余儀なくされる。
昨年9月に発生したWeWorkショックを受け、OYOが「第二のWeWorkになるのではないか」と非難を浴びたからだ。
CEOのリテシュ・アガルワルはWeWorkショック直後に、拡大路線から一転、全社に向けて収益化に舵を切る方針を打ち出している。
果たしてこの1年間、OYOでは何が起きていたのか。ネガティブなニュースが多い日本の事業は今、どんな状態なのか。
インド本国とも密接に情報をやり取りする日本の経営幹部を直撃した。
山本竜馬(やまもと・りょうま)/OYO LIFEグロース統括責任者。2004年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2016年、アップルジャパンにApple Pay創立メンバー、事業推進責任者として参画。2019年8月より現職

「賃貸市場」をディスラプト

──日本では12兆円の賃貸マーケットのディスラプトを目指し、昨年3月にOYO LIFEというサービスを開始しました。
OYO LIFEのビジネスモデルは、「賃貸」を便利に進化させることです。賃貸サービスは昔からあまり変わっておらず、契約に1週間、長いと1カ月かかることもあり不便ですよね。
物件の検索についてはSUUMOなどによってオンライン化されていますが、それ以外は人や紙を介して進められます。
昨今、あらゆる産業がIT化している中で、賃貸不動産はまだ変わっていない領域で、我々はそこに狙いを定めて参入しました。