[ワシントン 23日 ロイター] - 米労働省が23日公表した18日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比6000件増の21万1000件となった。市場予想21万5000件は下回った。雇用者数の伸びは減速しているが、労働市場は引き続き引き締まっていることを示した。

前週の申請件数は1000件増の20万5000件に改定された。

前週までは5週連続で減少し、例年より遅い感謝祭により2019年12月初めの申請件数が急増したのを打ち消した。

労働省によると、アラバマ州とカリフォルニア州、デラウエア州、ハワイ州、カンザス州、バージニア州、米領プエルトリコが推計値だった。月曜がキング牧師の日で祝日だったため集計の時間が足りなかった。

労働市場の動向をより正確に反映するとされる4週間移動平均は前週比3250件減の21万3250件で、昨年9月以来の低水準だった。

今回の申請件数は1月の雇用統計と調査期間が重なる。4週間移動平均は12月から1月にかけて1万2500件減少しており、1月は雇用者数が上向く可能性がある。

失業保険受給者総数は11日までの週に3万7000件減の173万1000件となった。2週間前は18年4月以来の高水準である180万4000件まで上昇していた。年末で不安定だったとみられる。4週間移動平均は2000件増の175万7750件だった。

ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、マリア・コスマ氏は「労働市場で通常見られる範囲を超える解雇は行われていない。 労働者の間で雇用に対する信頼感は極めて高くなっているため、レイオフされても失業保険を申請していない」と述べた。

12月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月から14万5000人増と、11月の25万6000人増から減速した。11年目に入った過去最長の景気拡大の中で、人手不足が要因とみられている。

貿易摩擦も製造業の重しとなり、工場での雇用が減っている。失業保険申請件数は低水準で推移しているが、昨年末から今年1月半ばにかけて、製造業や運輸、倉庫、建設、教育サービス、宿泊・食品サービスで一時解雇があった。

これは米連邦準備理事会(FRB)が先週公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)と符合するようだ。FRBは、昨年末に「ほとんどの地区が幅広い労働力の不足が雇用の伸びを抑える要因と指摘した」、「いくつかの地区は製造業で解雇や雇用の減少を報告した」、「運輸やエネルギー分野で解雇の報告がちらほらあった」と示していた。

雇用増加は緩やかになっているが、労働市場は引き続き底堅く、12月の失業率は約50年ぶりの低水準である3.5%を維持し、労働市場の緩みを示す広義の失業率(U6)は6.7%と過去最低だった。