[北京/上海/香港 22日 ロイター] - 中国国内で新型コロナウイルスによる肺炎の死者は21日時点で9人、感染者は13省で計440人となった。中国の衛生当局者はウイルスが変異しているとの見方を示しており、感染拡大の食い止めは難しくなりつつある。

国家衛生健康委員会は22日、記者会見を開き、呼吸による人から人への感染の証拠が確認されたことも明らかにした。湖北省では人が大勢集まる場所に行かないように当局が呼び掛けるなど、感染拡大に歯止めをかけるための対策が相次いで打ち出されている。

会見した同委員会の李斌副主任は、感染者と濃密な接触をしたケースが新たに2197人確認されたとし、「呼吸器感染」の証拠があると語った。

また、中国の疾病対策予防コントロールセンターの高福主任は会見で、ウイルスは野生生物を違法に取引する市場から発生したと説明。適応しながら変異しているとした上で、衛生当局が拡大を封じ込める努力をしていると強調した。

世界保健機関(WHO)は22日に緊急委員会の会合を開催し、新型コロナウイルスによる肺炎が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」に当たるかどうかを検討する。

年末に湖北省武漢市で発生した新型肺炎は、北京や上海など国内の他の都市にも感染が広がり、国外ではこれまでに米国、タイ、韓国、日本と台湾で感染者が報告されている。22日にはマカオで初めての感染が確認されたほか、タイで4例目の感染が報告された。マカオの感染者は52歳の女性で武漢市からの旅行者。タイの新たな感染者は73歳のタイ人女性で、新年の休暇中に武漢市に旅行していたという。

春節(旧正月)の大型連休で大規模な人の移動が見込まれるなか、中国政府は国民がパニックに陥ることを防ぐため、感染者の数などを毎日発表している。

同委員会は、湖北省では多くの人々が集まることをなるべく避けるよう呼び掛けているとしたほか、中国全土でも大勢の人が集まる場所を避けるよう求めた。中国はWHOとの連携を強化すると李副主任は述べた。

2002━03年に世界中に感染が拡大し、800人近い死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)の再来への懸念で世界の市場は動揺、株式市場では航空会社や高級ブランド品メーカーの株が売られている。人民元も急落した。

WHOは21日、新型肺炎は今後数日間に、中国国内でも世界でもさらに感染が拡大する可能性が高いと警告した。

世界各国の空港が中国からの渡航者に対する検査を強化しており、オーストラリアに続いて台湾も武漢市への旅行を避けるよう警告を発した。

台湾の蔡英文総統はフェイスブックで「必要がない場合はこの地域を訪れないよう呼び掛けたい」としたうえで、武漢市からのツアー客に対し、当面は台湾に来ないよう命じた。

*内容を追加しました。