[21日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズは20日、香港の格付けを「Aa2」から「Aa3」に引き下げた。香港当局の統治能力が「これまで考えていたよりも低い」可能性を指摘した。

ただ、格付け見通しは「安定的」とし、「ネガティブ」から変更した。

ムーディーズは声明で 「過去9カ月にわたり抗議活動を繰り広げている香港の人々が掲げている政治、経済、社会問題に対する具体的な計画が欠如していることは、香港当局の能力がムーディーズのこれまでの評価よりも低い可能性がある」と指摘。

また、昨年11月に行われた区議会選挙で、民主派が地滑り的な勝利を収めたことに対して、香港当局が明確な反応を示さなかったことも挙げ、「香港当局に対する圧力は香港の格付けに対する直接的な阻害要因となる」とした。

ムーディーズは、一部市民による政治的要求や、生活水準や住宅コスト、経済機会の平等に関する懸念に対する香港当局の対応は「著しく遅く、あいまいなものだった」との見方を示した。

香港当局は21日、声明文を発表し、ムーディーズの評価に強く反対するとしたほか、決定に「深く失望した」と表明。

「香港はこの7カ月ほどの間、返還以来で最も深刻な社会不安に直面しているが、香港特別行政区政府は、中央政府の確固とした支援の下、『一国二制度』の原則を断固として守り、暴力行為を抑制して一刻も早く社会秩序を回復すべく法に従って状況に対処してきた」とした。

一方、ムーディーズは、香港の卓越した財政力、および一貫したマクロ経済的な安定を踏まえ、格付け見通しは安定的としたと説明した。

*内容を追加しました。