[東京 20日 ロイター] - 前田建設工業<1824.T>の前田操治社長は20日、ロイターとのインタビューで、前田道路<1883.T>が株式公開買い付け(TOB)に反対する決議をした場合でも、TOBを実施する考えだと述べた。

前田建設は20日、1株3950円で前田道路に対してTOBを実施すると発表。これに対し、前田道路は現時点で賛同表明はしておらず、「内容や関連情報を精査したうえで速やかに見解を公表する予定」とのコメントを発表した。

前田社長は、仮に前田道路がTOBに反対する決議を行った場合でも「TOBは続ける」と述べた。ただ、「しっかりとご理解いただけていない」とも述べ、今後、市場の変化などを説明すれば「理解を得られると期待している」とも語った。

TOBは、公開買付開始公告が行われた日から10営業日以内に公開買付けに関する意見等を記載した意見表明報告書を提出しなければならない。

両社は昨年からワーキンググループを立ち上げて、議論を行ってきた。ただ、同意を得られないままにTOB発表に踏み切ったのは、急速な環境変化に対する危機感があり、時間的な余裕がないと判断したためだという。

前田社長は、前田道路と認識を共有できなかった背景について「戦略や時間軸についてだいぶ話をしたが、温度差があった。さらには、経営の独立性が担保されるかという点で誤解があった」と指摘。今回のTOBは株式保有比率を51%に引き上げることを目的としており、完全子会社化したり、経営陣を総入れ替えするようなことは考えていないと、道路側にも説明してきたという。

現在、前田建設は前田道路株を24.68%保有しているが、「シナジーという意味では、24%保有ではやり切れていなかった。前田道路の独立性を維持しながら、積極的な議論ができる環境になればよいと思い、51%という目標を設定した」とした。

親子上場の解消の流れには反しているものの、「企業文化を強引に変えることは決してプラスにはならない」との考えがあったという。

前田建設と前田道路は1964年に業務提携を開始、68年に前田道路に社名を変更。両社の間には、長い歴史がある。前田社長は「今も信頼関係はあると思っている」と述べ、今後の話し合いに期待を寄せた。

(清水律子 編集:内田慎一)