生徒の学習意欲がアップ。見直される「授業中のスマホ利用」

2020/1/21

「デジタル禁止論」に揺らぎ

テキサス大学ダラス校(行動科学・脳科学部)で教鞭を執るカレン・ハクスタブル-ジェスターは、「人の注意力を散漫にする」というテクノロジーのマイナス面を知っている。
ある授業を見学していた彼女は、数人の学生が講師ではなく、手元の画面で映画に見入っていることに気付いた。
そんなわけで、過去数年間は、障害があるためにテクノロジーの助けを必要としている学生を除き、「授業中のテクノロジーの使用は禁止してきた」と彼女は言う。
だが、そんなハクスタブル-ジェスターも、次第に柔軟になってきた。「今では時々『これを(ネットで)調べてくれる?』と言うこともあります」
同大学の教育・学習センターの副所長でもあるハクスタブル-ジェスターによると、スマートフォンやタブレット、ノートPCが学生の注意力を授業からそらしてしまうかどうかという議論には、なかなか決着がつかないという。
「みんな、とてもはっきりした意見を持っています。誰もが正しいことをしたいと考えているのに、何が正しいのかが見えていないのが現状なのです」
(Marc Romanelli/Getty Images)

「辞書を引くのと同じこと」

しかし最近では、多くの大学教授や教育の専門家が、こうしたデバイスを戦略的に導入することで、学生たちがかえって熱心に授業に取り組むようになると指摘している。