[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米株式市場で大統領選に対する不安が緩和している。民主党候補指名争いで、穏健派のバイデン前副大統領が優勢を保ち、左派のウォーレン上院議員の支持率が落ちていることが背景だ。
ヘルスケア、金融、エネルギー株のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)は過去数カ月で大幅に低下した。
こうしたセクターは、民主党の大統領が誕生すれば規制が強化されるとみられているが、ウォーレン氏の支持率低下に歩調を合わせる形でインプライド・ボラティリティーが低下している。
ロイターとイプソスの世論調査によると、ウォーレン氏の支持率は昨年10月にピークに達し、その後、低下傾向にある。
サスケハナ・フィナンシャル・グループのデリバティブ戦略で共同責任者を務めるクリス・マーフィー氏は「ウォーレン氏が選ばれる確率が高まった9月、10月、11月はボラティリティーが大幅に高まっていた」と指摘。「マーケットにとっては、バイデン氏が無難な候補のようだ」と述べた。
バイデン氏は、複数の世論調査で首位もしくは首位に近い位置を維持しており、ウォーレン氏と同じ左派のサンダース上院議員の支持率が上がっても、インプライド・ボラティリティーへの影響は出ていない。
トレード・アラートのデータによると、ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド<XLV.P>の30日のインプライド・ボラティリティーは15日午前の時点で12.2%と、昨年10月初めの18.9%から低下している。
トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズの創設者マイケル・パーブズ氏は「ウォーレン氏の支持率が上昇傾向にあったころは(党候補者指名レース初戦となる2月3日の)アイオワ州党員集会に対する懸念が高まっていたが、そうした懸念は後退した」と述べた。
ただ、民主党候補指名争いを巡る不安が完全に払拭されたわけではない。2月下旬に期日を迎えるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)<.VIX>先物は、ボラティリティーの上昇を示している。先物は今後1カ月の見通しを反映しており、対象期間にはカリフォルニア州やテキサス州など重要州の予備選が行われる3月3日のスーパーチュースデーが含まれる。
また、大統領選の投票日である11月3日に近い時期も、インプライド・ボラティリティーが大幅に上昇している。
クレディ・スイスの株式デリバティブ担当ストラテジスト、マンディー・スー氏は13日付のリポートで「トレーダーは、選挙絡みの大幅なリスクプレミアムをすでに織り込み始めている」と指摘した。