[16日 ロイター] - 米金融大手モルガン・スタンレー<MS.N>が16日発表した2019年第4・四半期決算は増収増益となり、利益が市場予想を大幅に上回った。同社はまた、効率性の指標や株主資本利益率(ROE)などの経営目標を引き上げた。

目標の上方修正が好感されて株価は急伸し、6.6%高で終了した。

第4・四半期はM&A(企業の合併・買収)助言関連が振るわなかったものの、債券トレーディングや債券・株式の引き受けなどが好調で、大半の部門が増収となった。

同期の利益は、前年比46%増の20億9000万ドル(1株当たり1.30ドル)。1株利益はリフィ二ティブのまとめたアナリスト予想の0.99ドルを上回った。

純収入は27%増の109億ドル。

通年の利益と収入はともに過去最高を更新し、昨年1月に設定した年間目標を達成した。

セールス・トレーディング収入は28%増の31億9000万ドル。債券トレーディング収入は2倍あまりに増え、12億7000万ドル。一方、株式トレーディング収入は小幅減少した。

債券・株式の引き受け拡大を追い風に投資銀行部門も11.2%の増収となった。

モルガンSは費用の効率的な活用を測る指標として注目されている効率性比率(収入に対する費用の比率)について、今後2年の目標を70━72%、長期を70%以下に設定した。2019年は従来目標の73%以下を達成した。

2022年までのROEは13━15%、それ以降は15━17%を目指す。19年の実績は11.7%と、従来目標の10━13%に達した。

富裕層向け資産運用部門の税引前粗利益率は、今後2年で28━30%、それ以降は30%もしくはそれを超える水準とした。19年実績は27.2%で、従来目標の26━28%を余裕を持って達成した。

ジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、富裕層向け資産運用部門は5年前に比べて1日当たりの収入が約3倍に増えたと強調。同部門は収益安定化に向けた同氏の戦略の柱となってきた。また、証券部門は、業界全体の売上高が減少するなか、競合社からシェアを奪ってきたと述べた。

今週決算発表を行ったJPモルガン<JPM.N>など同業大手は大半が好調な業績内容となったが、モルガンSと競合する分野が多いゴールドマン・サックス・グループ<GS.N>は大幅な減益となった。

*内容を追加しました。