英独仏、イラン核合意巡り「紛争解決手続き」発動 制裁再開も
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「紛争解決手続き」は、核合意でもし問題が起きた時のために定められていた解決の手続きです。現在起きている問題とは、まず2018年に米国が合意から一方的に離脱し、2019年にはイランに対する経済制裁を再開したことです。
核合意は、イランが核兵器を開発せず、原子力開発を一定程度までしかしない、その代わり経済制裁を解除する、という取り決めでしたから、米国が離脱して経済制裁を再開した時点で機能しなくなっています。
これを受けて、イラン側も、核合意から離脱する可能性をチラつかせていますが、今のところ離脱するわけでも、核兵器をつくっているわけでもありません。
「紛争解決手続き」は、関係国で話し合って、それで話がつかなければ国連の安全保障会理事会に持ち込むことになります。安全保障理事会で、イランに対する経済制裁が決議されるというのは、一つの可能性に過ぎませんが、もし国連の決議になれば、日本を含め世界中の国が経済制裁に参加する義務があります。
英独仏は、何もイランに経済制裁を行いたいわけではなく、イランに交渉に出てきて妥協してもらいたいがために圧力をかける、ということでしょう。英独仏は、米国の経済制裁があるのでイランに貿易という利益も提供できず、この程度の圧力をかけることしかできません。
イランにとっては何の得になる話も無く妥協しろと言われても、妥協というのはイラクやシリアからの撤退ということでもあり、受け入れられるものではないでしょう。紛争解決手続きは核合意に盛り込まれていたプロセスで、ここで各国が意見の一致を見なかった場合、国連安保理に持ち込むことができます。イランは当然の如く反発していますが、一方で「合意を維持する為の現実的な取り組みへの用意がある」とのメッセージも発しています。制裁再開でこれ以上経済への打撃を避けたいという意志が強ければ、最後は国連に持ち込まれる前に合意点が見出されるのではと予想します。
アメリカの核合意破棄は、トランプ大統領の選挙公約でもありましたが、タイミング的にトリガーになったのはイスラエルのインテリジェンスだったと思います。イスラエルも自国の利益があるので、どのぐらい信憑できるかわかりませんが、逆にイランが絶対に違反をしていなかったかどうか。国際的には、イランは違反していなかったという理解だと思います。
門部さんのご指摘の通り、逆のスパイラルになってしまったのですが、国内の政治的な話をすると、選挙のときの公約がNAFTAやイラン核合意の再交渉、すなわち、オバマ政権・民主党の外交政策に反対する姿勢を強調することで、国民の支持を得たという政治構造があります。その意味で、このイランの問題も、本来、国際問題なのですが、国内政治の圧力が結構かかっている感じがあります。