[ロンドン 14日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は出資先企業のCEOに宛てた年次書簡で、各社の取締役会は気候変動問題への取り組みを強化しなければさらに投資家の怒りを買うことになると警告した。投資家は持続不可能な事業慣行によって将来、自身の資産が減ってしまうのではないかと懸念していると指摘した。

書簡の中でフィンクCEOは、持続可能な投資こそが顧客のポートフォリオの「最もしっかりした基礎だ」とブラックロックは確信していると述べ、投資家がリターンを守るなか近い将来に「資本の大規模な再配分」を行う公算が大きいとの見通しを示した。

ブラックロックが「財務の根本的な再形成」に取り組み、一般炭の生産者など持続性に関連するリスクが高い投資からは手を引く方針を明らかにした。

気候変動問題が幅広く注目を集めるようになるとともに、投資家も金融機関などに対して気候変動対策を一段と強化するよう圧力を強めている。

ブラックロックも過去に、投資先企業に持続可能な事業を促す対策を十分にとっていないとして厳しい批判にさらされてきた。昨年12月には、複数の物言う投資家がフィンクCEOの年次書簡に気候変動に対する取り組み強化が表れているか注視すると警告していた。

ブラックロックはこのほか、スチュワードシップ・コード(機関投資家のための行動指針)に関する活動の透明性を向上させる方針で、投資先企業が「持続性に関する情報開示で十分な進展がない」と判断すれば、ポートフォリオマネジャーが経営陣に反対票を投じる傾向が強まるとしている。