[サンフランシスコ 9日 ロイター] - 交流サイト最大手の米フェイスブック<FB.O>は9日、政治広告の掲載基準を改定すると発表した。利用者が広告のターゲティング機能を停止できる。ただ、外部からの要請や競合他社が公表したものに比べ見劣りする内容になった。

フェイスブックは2016年のロシアによる選挙介入や、利用者情報を英政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカと共有した問題を受け、サイト上での政治的な情報操作を制限しようとしている。

ただ今年11月の米大統領選を前に、比較的緩やかな広告掲載基準への批判を和らげるのに苦心している。特に政治家の広告に対してファクトチェックを除外したことで集中砲火を浴びている。

フェイスブックは、写真共有アプリ「インスタグラム」も含めて、利用者が政治や社会的な広告の表示を減らすことができるツールを米国で初夏に導入するほか、広告の閲覧データの公開範囲を第1・四半期から広げる。

対照的に、米ツイッター<TWTR.N>は昨年10月に政治広告を禁止。アルファベット傘下のグーグル<GOOGL.O>も、有権者の公開情報や一般的な政治志向を使った選挙広告を禁止する。ほかにもスウェーデンの音楽配信大手スポティファイ<SPOT.N>や画像共有サイトのピンタレスト<PINS.N>なども同様の措置を発表している。

フェイスブックのプロダクト管理部門のロブ・レザーン氏はブログで、グーグルのような制限も検討したが、採用しなかったと指摘。米大統領選候補による広告の大半は、対象を25万人以上と広範にしていることが内部データから分かったためだという。「国を率いたいと思う候補者から、長所も短所も含めて意見を聞くべきとの原則で判断した」と説明した。

レザーン氏は政治的な広告を出す側がリーチを目指している閲覧者の数も新たに表示すると述べた。

フェイスブックはそのほか、広告主が持つ電子メールや電話番号といった個人情報のリストに応じて、政治だけでなく全ての種類の広告について、利用者が閲覧をやめることを選択できるようにする。ただ全面的に停止するのではなく、広告主ごとに閲覧するかどうかを選ぶ必要がある。

米紙ニューヨーク・タイムズは今週、フェイスブック幹部のアンドリュー・ボズワース氏が、トランプ米大統領の再選キャンペーンを不利に運ぶことに肩入れしてはならない義務があると記した社内メモについて報じた。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の腹心でもあるボズワース氏は、フェイスブックが16年のトランプ氏当選の一因だったとの考えを示したが、偽情報やケンブリッジ・アナリティカのおかげではなく、トランプ陣営が非常に効果的にフェイスブックの広告を活用したためだと述べた。

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