トルコ軍、リビア派兵を開始 中東の不安定化が加速も
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イラン・イラク情勢も心配ですがそれより前に大きな戦いになりそうなのがリビアです。
2011年にカダフィ政権が打倒されて以後リビアは様々な勢力が集合離散を繰り返した後、二つの政府に二分されることになります。
それがシラージュ首相の国民合意政府とトブルクの代表議会です。
それぞれに支持する軍隊がおり、中でもトブルク議会を支持するハフタル将軍のリビア国民軍は、元リビア国軍によって構成されているだけに最大の戦力を保有しており、全リビアの3分の2近くを支配し、シラージュ首相を支持するミスラタ民兵、トリポリ防衛軍と激しく対立しています。
今回の事の起こりは、リビアの和解を求めた国連のアントニオ・グテレス事務総長がトリポリを訪問したことに反発したハフタル将軍が、2019年4月4日トリポリへの進軍を命令したことによります。
しかしハフタル軍の進撃はトリポリ手前で食い止められ、以後半年以上膠着状態が続いていました。
この内戦が厄介なのは、国民合意政府にはトルコ、カタール、そしてイタリアがバックについている一方、ハフタル将軍にはエジプト、UAE、サウジアラビア、ロシア、そしてフランスが後押しをしていると言うことです。
つまり中東諸国だけでなく西側諸国も対応が分かれており、ある意味イタリアVSフランスの代理戦争という側面さえ帯びているのです。
因みにアメリカは一応国民合意政府寄りですが、ハフタル将軍は元々CIAの保護下にいた人物なので、積極介入せず傍観して勝ち馬に乗る作戦と思われます。
戦線が動いたのは昨年の12月、ロシアから傭兵と思われる大量の援軍がハフタル軍に到着した事によります。
援軍を得たハフタル軍はトリポリ市内の一部を占領し、戦況はハフタル軍優勢に傾きかけました。
しかしここで国民合意政府を支持するトルコが待ったをかけます。
国民合意政府と軍事援助協定を結んだトルコは、トリポリの陥落を避けるためシリアのイスラム勢力などからなる傭兵1000人余りをトリポリに送り込んだのです。
これを皮切りに間も無くトルコ正規軍もトリポリに上陸すると見られています。
トルコの援軍が到着し本格的なトリポリ攻防戦が始まれば両軍に大きな損害が出ることでしょう。
今リビア内戦はその天王山というべき戦いを目前にしているのです。