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「科学的・心理学的」という言葉を多用してもっともらしいことを言うインフルエンサーの不都合な真実<2>

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書かれている主張は至極まともではあるが、筆者自身がエクマン等が作成したFACSコーダーであるという権威を売りにしていること、その様なインフルエンサー的記事が多いハーバービジネスオンラインで連載していることが、些か皮肉ではある。

確かにエクマンが表情・感情研究を切り開いた功績は偉大だ。人間の感情を基本の6(4〜7)感情に分類し、それに表情筋の動きを組み合わせに対応させるというやり方によって、一定の結果が得られている事も事実。ただし、エクマン自身が指摘し、最近の研究で明らかにされているように、感情概念と表情には文化差があり、普遍的な指標では測れない。

日本人の基本6感情の表情は「エクマン理論」に従うか? – 人工知能を用いて検証 2019年3月19日
https://academist-cf.com/journal/?p=10185

それだけならば、各文化毎に最適化すれば良いというだけなので、それ程問題ない様に思われるが、エクマン説が問題なのは根本的なテーゼとして「人間の感情がより基本的な感情要素で説明可能である」という心理学上の本質主義の流布にも一役買っている事だ。

そうした本質主義は間違いであり、感情概念の構築は個人と社会の相互作用で成される経験的なもので、文化差というよりは文化そのものである可能性(構成主義的情動理論)が高いことが、最近の神経科学の研究によって明らかになりつつある(一部業界ではまだ論争中のようだが)。

座談会「感情の心理学的構成主義に見るこれからの感情研究」
2017年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ems/3/1/3_ES3-0007/_pdf/-char/ja

「情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論」リサ・フェルドマン・バレット 2019年11月
https://honno.info/kkan/card.html?isbn=9784314011693

筆者は学術論文を元に情報発信しているという点で、脳内ソースのインフルエンサー記事よりはずっとマシだが、筆者が依拠している「科学」としての心理学研究学術論文(の多く)の前提そのものが間違っているとしたら、それは一部エビデンスとしての意味はあるだろうが、間違った信念の流布に加担している可能性もある。
本当に専門家としては常に頭の痛い問題です。
ネットの広まりで、誰でも情報を発信できる時代になりました。それがインフルエンサーという職を生み、情報の氾濫に拍車をかけています。

どんな仕事でも金銭を得る必要があります。そうしたらインフルエンサーはどうやって金銭を得るのか?
一つは広告対価です。特定の商品を広告することでその対価を得る。
もう一つは閲覧数です。いかにその記事を多くの人に見てもらうか。
この為に「科学的妥当性」や「公平性」は全くと言っていいほど無視されます。特定の商品を広告する為に都合の良いデータのみを取り上げ、閲覧数を稼ぐ為によりセンセーショナルで断定的な表現を好む。

インフルエンサーは科学者ではありません。科学的妥当性は何かを知り、それに基づいて情報発信する人間ではありません。
例えば特に医学の世界では、「権威ある〇〇医師が△△と言っている」は最も信頼性が低いデータです。「誰が」発信したかではなく、「どのような手法」で分析されたデータがが重要であり、そこに筆者の権威は関係ないのです。(逆説的に、この様な発信を続け、学界に変化をもたらした人が権威を持つのです)
しかしインフルエンサーは「権威ある〜」を好みます。「質の高いRCTで〜」と言うより、行っていることも分かりやすく、一般人にとって理解しやすいからです。それが正確で妥当かより、「より多くの一般市民が納得するか」が重要だからです。

そうして誤った科学的情報が、大きな拡散力を持って広まっていく。こと健康情報に関しては、これにより「勘違いした」一般市民が被害を被ることもありますし、医療者の負担も増えています。

インフルエンサーを活用するのを悪いこととは言いませんが、それを行って良い分野と、行うべきでない分野がある。その節度は守られるべきと考えています。