日立化成を子会社化、昭和電工社長の「ワクワク感しかない」展望
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本件、「小が大を飲む」と良く言われますが、そもそもの売却プロセスがスタートした今年1月時点では昭和電工が5,200億円、日立化成が3,500億円くらいでした。
PL的にも、昭和電工は売上9,921億円・営業利益1,800億円、日立化成が売上高6,810億円・営業利益486億円と、昭和電工の方が規模・利益・収益性いずれも大きい状況です。
その後、日立化成の株価が3倍近くにまで高騰したため、総額9,640億円と、結果として安くない買い物になりましたが、昭和電工は足元業績としては好調であり、本体で約2,950億円のコーポレートローンを調達出来ることから、残りの7,000億円を日立化成のCFを背景としたシニアローン4,000億円と優先株2,750億円で賄うことで、ディールとして成立したということになります。
ファイナンス的には結構パツパツに見えますが、シナジーのあるstrategic buyerだからこそできる芸当と思います。
日本企業の「小が大を飲む」M&Aの例である、日本板硝子による英ピルキントンをの買収では、日本板硝子は相当な苦労をされました。
昭和電工は過去にもM&Aを活用して成長を果たしてきた、レバレッジ経営ができる会社で、2017年にはドイツのSGLカーボンから黒鉛電極事業を買収し、業績にも大きく寄与しています。
社長の森川宏平さんは、高値づかみのM&Aでありがちな「経営者」タイプの社長ではなく、研究開発畑の出身であり、高純度ガス事業を伸ばした立役者でもあります。
森川社長のおっしゃるとおり、事業的にもポートフォリオ多角化が進むと思いますので、当面は買収・統合に注力し、新生・昭和電工/日立化成として2兆円規模に成長を果たした上で、また海外含めたM&Aや事業展開を進めてもらいたいなと思います。
ファイナンスはちょっと「ドキドキ」しますが、ビジネスとしては確かに「ワクワク」しますね。昭和電工の株価時価総額は4529億円、日立化成は9523億円。
今回は「小が大をのむ」買収が実現した訳だが、ワクワク感以上に不安や危機感があるのではないか。
実際に買収の効果が出てくるまで、どれくらいの時間を要するか?
5年後、10年後になるだろう。
森川社長が「世界のトップ企業になれるチャンスを逃したくなかった」と話しているように、ハードディスクや電子材料用高純度ガス、黒鉛電極、半導体向け材料、リチウムイオン電池負極材などの個性派事業で世界トップ企業になることを期待します。