訂正:米当局、第一三共とアストラゼネカの乳がん治療薬を承認
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こちらの薬剤は、従来の乳がん治療薬と異なり、抗体と呼ばれる、体内の特定の分子に鍵と鍵穴の関係でくっつくことのできるタンパク質と、抗がん剤をくっつけた治療薬で、ADC(antibody-drug conjugate)と総称されます。
ただ抗がん剤を投与するのと比べて、がんに比較的特異的に存在する分子を狙って抗がん剤を届けられるので、効果が高まり、副作用のリスクが軽減されることも期待できます。
今回の薬剤の臨床試験では、2から最大17もの治療をすでに受けていた難治性の乳がんの患者さんで、HER-2と呼ばれる分子が陽性の方にこの薬剤を投与し、60%を超える奏功率を得ています。期待よりも高い効果を発揮したために、早期承認の流れとなったようです。
指摘されている間質性肺炎や胎児への影響については、比較的多くの抗がん剤で生じやすい副作用の一つですが、まだデータの蓄積が十分でない段階で、すでに間質性肺炎による死亡例も出ているようで、boxed warningが出されています。第一三共とアストラゼネカ期待のDS-8201。今年10月に承認申請が受理されたばかりでの承認で正直びっくりしました。Keytrudaが初めての患者への投与から米国上市まで4.5年かかりましたが、本薬は4.25年になるようです。上市後の調査がうまくいき、対象癌種が順調に広がると望ましいですね。