【久保建英】スペインに「開国」させた日本サッカー界の至宝

2019/12/24
今、最も将来が期待される日本人フットボールプレーヤーは、久保建英(くぼ・たけふさ)選手だろう。
弱冠18歳にして、2019年6月に「銀河系軍団」と言われるスペインの名門レアル・マドリードへ完全移籍。夏には、同じスペイン1部のマジョルカへのレンタル移籍が決まり、9月にリーガ・エスパニョーラ(スペインリーグ)でのデビューを果たした。
リーガの2019〜20年シーズンは、前半戦が終わり、久保選手の出場は18試合中15試合。1ゴール、1アシストの記録を残している。
日本サッカーの「未来」を背負う18歳は、2020年にどんな記録を残すのか。
2020年の東京五輪で注目される「TOKYO」を中心に、新しいムーブメントを生んでいる人々を紹介する特別企画「NEO TOKYO(ネオトウキョウ)」──。
今回は、そんな久保選手について、スペイン在住のサッカージャーナリストで、元『月刊フットボリスタ』編集長の木村浩嗣氏が解説する。
久保建英(くぼ・たけふさ)プロサッカー選手(RCDマジョルカ)、日本代表
2001年6月、川崎市生まれ。3歳でサッカーを始め、小学2年生で参加したFCバルセロナキャンプでMVPに。9歳でFCバルセロナの下部組織に入団。2015年、日本に帰国し、FC東京の下部組織に。2017年、FC東京とプロ契約し、16歳5カ月でJリーグデビュー。2019年6月、FC東京からレアル・マドリードへ完全移籍。今夏、マドリードからのレンタル移籍でマジョルカに加入。9月にデビュー。身長173cm、体重67kg。18歳(写真:REX/アフロ)

日本人に開国した「記念の年」

2019年夏、突然スペインに大量の日本人選手がやって来た。
名実ともに世界一の強豪レアル・マドリードが久保建英(18)を獲得すると、宿敵のFCバルセロナは安部裕葵(20)を獲得して対抗。さらに、香川真司(30)がレアル・サラゴサに、岡崎慎司(33)がウエスカとそれぞれリーグ2部のチームに加入した。
そして、U-22日本代表GK山口瑠伊(21)が、同じくリーグ2部のエクストレマドゥーラに加入した。
もともといたエイバルの乾貴士(31)、デポルティーボ・デ・ラ・コルーニャの柴崎岳(27)と合わせて、1部リーグに2人(乾・久保)、2部リーグに4人(柴崎・岡崎・香川・山口)、2部Bリーグに1人(安部)と総勢7人の日本人がプレーしている。
2019年、いや欧州サッカー的に言うと、「2019〜20年シーズンの前半」は決して忘れられない年になるだろう。
(写真:REX/アフロ)
欧州列強として門を閉ざしていたスペインが、日本サッカーに対して“開国”した年であり、夏の大量加入は“逆黒船襲来”と呼べるかもしれない。
とはいえ、黒船は大船団で地中海に忽然(こつぜん)と姿を現したわけではない。前から少しずつ来ていたのだ。