【山形浩生】社会啓蒙論者ピンカーとは、何者なのか
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『暴力の人類史』を昨年読んで、いま『人間の本性について』を読んでいるにわかファンだが、ピンカーの面白くて力強い啓蒙主義は本当に元気が出る。人間も捨てたもんじゃない。
なお、私の中での関連図書はカーネマン『ファスト&スロー』、ヒース『啓蒙思想2.0』、ブルーム『反共感論』、リラ『リベラル再生宣言』。進化的につくられた人間の心理の特性と、それが社会や政治に及ぼしている影響が、大きな流れとして読み取れる。中でも、ピンカーの諸著作はこれらを貫く柱として重要。
注目のコメント
『21世紀の啓蒙』で,私が感銘を受けたのは「ガードレールの発明者はノーベル平和賞を貰ってない」の1節です.
「自動運転で事故はいずれ無くなる」「(自助努力で)効率化して家に早く帰りましょう」...それらは注目や投資を集めるには有効な言説かもしれません,しかし,今現実に現場で働いている人間に響く言説では無い.
「君はくだらない仕事って言うけど,このガードレールってのが開発され,歩行者が死ぬ事故は劇的に減ったんだよ,当たり前にあるから地味で,気付かないけど,このガードレールを建てる事で,誰かの命が救われるかもしれない,これはそういう仕事なんだ」と,チームのメンバーに現在の仕事の価値を意味付けられる,そのような言葉が現場には必要なのです.
意味を感じつつ仕事をすれば,人間の幸福度は上昇します.そして,現在まで社会が進化したのは,日常の地味な仕事の積み重ねです.それを知り,伝える為に,このような書籍が存在し,現実を生きるビジネスパーソンが読む意義が有ります.スティーブン・ピンカーを早くから日本に紹介してきた山形浩生さん(評論家・元野村総研研究員)による、新刊『21世紀の啓蒙』を含むピンカー主要著作の解題です。
進化心理学者および公共的知識人としてのピンカーの圧倒的な功績と、その主張の変遷、そしてビジネスパーソンがピンカーから学べることについて。ぜひ。