[北京 16日 ロイター] - 11月の中国の新築住宅価格は約2年ぶりの鈍い上昇となった。不動産投資も減速した。景気減速や不動産投機抑制策を背景に需要が全般的に圧迫された。

中国国家統計局が発表したデータに基づきロイターが算出した11月の主要70都市の新築住宅価格は前月比0.3%上昇と、10月(0.5%上昇)から減速し、2018年2月以来の低い伸び。

前年比も7.8%上昇から7.1%上昇に鈍化し、18年8月以来の低い伸びとなった。

70都市中、前月比で価格が上昇したのは44都市で、10月の50都市から減少した。

アナリストは、一部業者が年末に向けて販促を強化し値下げに動くだろうと予想。ただ、市場安定に腐心する当局は価格下落を容認しない可能性があると指摘する。

都市別の価格動向は依然まちまち。

国家統計局の声明によると、巨大都市の北京、上海、深セン、広州の新築住宅価格は前月比0.6%上昇。10月の0.1%から伸びが加速した。

主要な省都を含む2級都市は0.2%、3級都市は0.5%、それぞれ上昇したが、いずれも10月から減速した。

11月の不動産投資は前年比8.4%増加。10月(8.8%増)から鈍化し約1年ぶりの低い伸びにとどまった。

ロイターの算出による不動産販売(床面積ベース)は1.1%増で6月(2.2%減)以来の低い伸び。

新築住宅着工(床面積ベース)は前年比2.9%減で10月(23.2%増)からマイナスに転じ、過去2年余りで最悪となった。

不動産業者が資金調達しにくい状況は続く見込みだ。国営メディアが市場データとして伝えたところによると、不動産業者の破綻は11月末時点で450社超と、昨年の破綻数を上回った。

China Real Estate AppraisalのHui Jianqiang研究員は「不動産業者は通常、年末が近づくと新規案件の着手を抑え、現金の確保に向け販売のほうに力を入れる」と指摘。

「新規着工は、暖かくなる来春ごろに幾分回復すると予想しているが、不動産政策が緩和される兆しはなく、市場では悲観的ムートが続くだろう」と述べた。

習近平指導部は前週「住宅は住むためのものであり、投機の対象ではない」とあらためて表明したが、経済が減速していることもあり、当局は不動産市場が完全に冷え込ませてないよう、目配りもしている。一部地方都市は住宅規制の緩和に動いている。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏は前週のリポートで、「数年前に着工した多数の住宅建設プロジェクトが完成するため、住宅建設の鈍化が(価格に対して)逆風をもたらす見通し」と指摘。不動産規制は来年も撤回されないと予想した。

「新築住宅着工戸数が急速に増えればこのような状況は回避できるが、不動産規制が全面的に緩和されない限り難しいだろう」とした。

*内容を追加しました

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)