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注目のコメント
タイトルの「タダで遺伝子検査」の狙いは、データ収集と実験に他ならないと思います。
疾患予測のための遺伝子検査は、その臨床的知見があまりにも未熟であり、ごく一部の遺伝的疾患を除き、その意義は不明です。
加えて、現時点では、個人の動機づけといったよく説明される利益よりも、保険上の選別や心理的悪影響といった不利益が上回る可能性が懸念されます。
過去に私のもとにも、十分な根拠なく遺伝子検査の組み合わせから「がんの発症率が高い」と「レッテルを貼られ」涙をして相談にいらした若い方を何名か拝見してきました。遺伝子検査は、結果がもたらしたその後を置き去りにしました。
例をあげたらキリがありませんが、実際に遺伝子には「浸透率」という概念があり、その遺伝子を持っていても、実際にその遺伝子の影響が100%出るというわけではなく、その影響の有無を事前に予測するのは不可能です。
また多くの場合、仮に発病が正確に予測できたとしても、遺伝的影響の色濃い疾患に対して、発症の予防法が十分確立しておらず、モニタリングをするとしてもどのようにするのかも確立されておらず、全てが「実験的」となります。
故に、仮に医師がバックに付いているとしても、彼らもまた遺伝子検査の研究者側であって、個人の健康状態を結果をもとに適正に管理できているのかは誰にも知る由もありません。私も遺伝子検査テスト「Helix」をオーダーしたことがあります。唾液を郵送すると、様々な項目がわかるというシステムです。基本のコースは病気のリスクまでわかりません。どういった人種に分類されるのか、乳製品を消化するための耐久性が低い、といった項目がわかり、どちらかというとゲーム性がより高いものになっています。価格を200−300ドルにあげると、ここは本格的な検査になり、将来的に自分が疾患を抱える可能性などがわかるようになります。
この遺伝子検査の分野には、大きな注目が集まっているのですが、プライバシー侵害のリスクをはらむことから、今年は逆風にあった業界でもあります。ただ長い目で見れば、人類の利益、ビジネスを生む可能性も大きいことは確か、来年以降も非常に面白い分野になりそうです。遺伝子検査にもメリット・デメリットがあります。特に心理面の負担は大きく、「~%の確率でこの病気になる」「自分の子供にも病気になる遺伝子が伝わる」と知ってしまっても、心のケアをする体制が十分に整っていないのが現状です。事前に同意を得るとはいっても、そこまで想像できる人は少ないでしょう。
福利厚生とのことですが、「遺伝子検査をすれば社員は健康になるのか?」は微妙なところであり、やはり実験的な意味合いが大きいのではないでしょうか。