がん5年後の生存率66.4% 10~11年診断患者、改善傾向
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「がんの生存率」は、仮にがんの治療成績が全く同等でも、低リスクの腫瘍の診断が増えたり、早期発見が増えることによって上昇します。故に、がんの生存率上昇=治療成績の「改善」ではないことに注意が必要です。
状況によっては「改悪」を意味するかもしれないので、タイトルは「上昇傾向」とだけするのが良いと思います。
がんによる死亡までの時間は実は不変で、発見が早まったことによりがんの生存率が上昇したように見えてしまう。ここにリードタイムバイアスがある、と統計学では表現しています。
もし、リードタイムバイアスの影響が大きいのだとしたら、社会として良いことと言えるでしょうか?もしかしたら、日本で行われている検査が過剰なだけなのではないでしょうか?
実際のところ、ここに医学的な意義を持たせることはできませんが、社会的意義を考察することができます。それは、がんの診断とともに生きる方が増えている、ということです。
そうだとすれば、この増加に応じて、がんが見つかった方への社会的サポートを我々は十分にできているでしょうか?緩和医療は日本全国に浸透しているでしょうか?専門家の数は十分でしょうか?
これらが、数字から浮き彫りになる目をそらすことのできない課題だと思います。データをちゃんととっていくことはとても大事やけども、
早期発見によるバイアスもあるし、
生存率上昇=治療成績向上 とは限らない。
大事なのは、
・予防できるがんは予防する
・早期発見することで治療できるがんはちゃんと検診を受ける
ことで、防げるがんは防ぎたい。
検診が過剰にならないよう、
どのタイミングでどの検診を受けるべきかはもっと整理されるべきだし、
受けるべき検診を受けていない人を把握して通知できるように、メディカルIDなどでレジストリを管理できるようにするべき。医療技術の進歩によりがんの早期診断が可能になればなるほど、がんの罹患患者数は増え、見かけ上の「生存率」は伸びる傾向になっていきます。そういったバイアスのためタイトルにある合計した数字は特に何の意味もありません。