伸び続けるネット動画広告市場に潜む「死角」

2019/12/13
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今回は2019年11月25日に開催された「動画広告の未来」の模様をまとめたイベント動画を配信。こちらでは、動画の内容を一部お届けします。

時間がない方は、小見出しと画像だけをご覧いただき、動画の見所を掴んでいただければ幸いです。

ネット動画広告が持つ力

 イベントでは、モデレーターとして株式会社 GO 代表取締役・三浦崇宏⽒が登壇。ゲストにはヤフー株式会社 MS統括本部 マーケティング本部長・井上⼤輔⽒、株式会社メルペイのディレクターマーケティング責任者である⼭代真啓⽒をパネリストに迎えた。
 「5G社会」の到来を間近に控え、ネット動画広告への注⽬度が⽇に⽇に⾼まっている。
 実際に「テレビ CM」中心だった動画広告が「YouTube」などへ広がりを見せている。これによりインターネット広告市場(動画広告以外も含む)はテレビCMの市場規模に迫る勢いだ。
 しかし、ネット動画広告はこのうち約2,000億円ほどに過ぎない。
 この数字を踏まえ、三浦氏は参加者にある問いを投げかけた。
 三浦 この数字を見て、ネットの動画広告は「もっと多かったのではないか」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 これが、「動画が持つ力」です。
 他のネット広告より比率が低いにもかかわらず、「動画広告が多い」という印象が与えられているのです。

動画広告に欠かせない「音」の存在

 私たちへの影響力を強め、市場規模だけでは測れない存在感を放つネット動画広告。
 しかし、登壇者からは異口同音に、ネット動画広告に関する「ある欠点」が指摘された。
 それが「音」の問題だ。
 山代氏、井上氏はこのように言及する。
 山代 YouTube以外はほぼ「音無し」。ここはかなり欠点かなと思います。
 井上 音は視聴者の耳に入る情報のシェアを独占できます。
高解像度な映像と合わせて、エモーショナルな音楽を使えると人の心を動かしやすくなる。
クリエイティブの面でも、音の存在は欠かせません。
 さらに、三浦氏は音の重要性についてこう断言する。
 三浦 「動画」という言葉に惑わされがちですが、映像はそもそも「画」と「音」でできていて、あくまで同価値です。
名作となる「映画」などで、「音」が機能していない作品はありません
 「画がメインで音は添え物」と考えているのは、だいたいロクな表現者じゃないでしょう。

テレビCMの効果は「測定可能だ」

 ネット動画広告にその座を脅かされているように見えるテレビCM。しかし、井上氏は「音」が使えるだけでなく、テレビCMにはこのようなメリットがあると語る。
 井上 まずリーチ単価が安い。これくらいの単価で到達できる媒体はほとんどありません。
さらに、若い人も意外とテレビを観ているというデータもあります。短期間で一気にリーチできるのは、テレビだけでしょう。
 さらに、テレビCMの弱点も「克服する術はある」と驚きの見解を示す。
 井上 「テレビは効果測定できない」と言われていますが、それは誤解です。
そもそも、効果測定ができない媒体に何十年も出稿する広告主はいません。
 例えば、消費財メーカーなら「ブランドトラッキングサーベイ」などで大まかな傾向は見ています。これがわかるだけでも非常に大きいです。

ヒットする「6秒広告」の創り方

 近年、YouTubeを中心に配信される「6秒のバンパー広告」。新たなクリエイティブとして、脚光を浴びている一方で、会場の参加者からは「見ていて常に不快になる」という意見も挙がった。
 HIKAKIN、はじめしゃちょーなどを起用してメルペイのネット動画広告を仕掛けた山代氏は、この意見に対する私見を述べる。
 山代 「6秒のバンパー広告」って、一瞬で終わってしまいますよね。
クリエイターからすると、ユーザーにとって最適なクリエイティブがまだまだ見えていないのかもしれません。
 しかし、「バンパー広告」のクリエイティブ検証が軽視されている傾向がある。それが問題ではないでしょうか。
 一方で、ネット動画広告のメリットには、「長さを気にしない、長尺の動画広告を制作が可能になり、多様なクリエイティブが生まれるのではないか」という声も挙がった。
 動画広告の未来はどこへ向かおうとしているのか、この議論はさらに熱を帯びていくーー。
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