【橘玲×柳瀬博一】進化生物学から「社会の仕組み」が見えてくる

2019/12/11
大学の基礎学問として学ぶ「リベラルアーツ」の価値が、いま見直されている。
変化の激しい時代であればあるほど、表層的な動きにとらわれることなく、世の中の「本質」を掴む必要がある。その理解を助けるのが、リベラルアーツというわけだ。
中でも注目されているのが「進化生物学」だ。最近は、怒り、喜びといった人間の感情も、実は進化のプログラムによって決定されるという研究もある。ゆえに進化生物学の知識は、組織運営や対人関係の構築に不可欠になっているのだ。
そこで今回、「これから必要なリベラルアーツ」をテーマに、作家の橘玲氏と、東京工業大学教授の柳瀬博一氏が対談。教養的知識への向き合い方を語り合った。
*本記事はNewsPicks制作、Audible配信のオリジナル音声番組「柳瀬博一のリベラルアーツ入門」の内容を編集したものです。
橘玲(たちばな・あきら)
作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。編集者を経て、2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『人生は攻略できる』(ポプラ社)など。

柳瀬博一(やなせ・ひろいち)
東京工業大学教授。慶應義塾大学経済学部卒業後、日経マグロウヒル社(のちの日経BP社)に入社。書籍編集などに従事したのち、2006年、日経ビジネスオンラインの事業構築に参画。2017年より現職。

「こころ」も進化により作られた?

柳瀬 私たちは、これだけ文明が発達しているのに、実に愚かな選択を日々しています。投資で失敗したり、仕事の選び方を失敗したり、家族の作り方を失敗したり、あるいは、彼女、彼氏との付き合い方を失敗したり。
私も、いっぱい失敗してきました。そんな失敗をなぜしてしまうんだろう。その点について、今、最も的確に面白く語っている方として、作家の橘玲さんとお話しできればと思います。
柳瀬博一氏(写真:鈴木大喜)