【アジカン後藤】20年以上の音楽活動で、見えてきたこと

2019/12/15
デビューから20年以上たった今でも衰えない人気を誇り、日本を代表するバンドのひとつとなったASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)。
そのアジカンの楽曲のほとんどの作詞・作曲を手がけるのが、Gotchこと後藤正文(Vo・G)だ。
後藤氏にアーティスト、作り手としての矜持(きょうじ)を聞いた。

「記名性」を獲得する

──最近の作品について、「コード進行を考えての曲づくりはやりつくしたと思って、鼻歌をスマホに録音している」と話されていました。今は、より自分の内から湧き上がってくる感覚を表現しようとしているのでしょうか。
その点に関しては、戦略的かもしれません。
実際に演奏する人の指のタッチや使う楽器などで音に違いは出てきますが、ギターコードを記号化していくと、そこまで組み合わせは多くないとも言えます。
その上、誰でも作品を発表できるような時代ですから、ユニークな曲をつくるのは難しいことでもあります。
そう考えたとき、自分のなかから出てきたメロディーのほうが、より自分の名前が強く書いてあるのではないかと。つまり「記名性」が高いだろうと。
また、そのように記名性の高い曲をつくっていかないと埋もれるな、とも感じています。
埋もれないものをつくるには、コード進行からつくるよりもメロディーからつくるほうが、より強い曲ができるんじゃないか、という考えです。
──「音に自分の名前が書いてある」というのは、メロディーから自分の名前が連想されるという意味ですか。