【横川正紀×千葉学】賃貸住宅も「ソフト」が問われる時代だ
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自分の建築学科の学生時代を思い返すと、ソフトを考えずにハードばかりデザインしようとしていたし、社会の流れを見ずにすごい狭い見識でがむしゃらに設計していたことを思い出します。しかし、コンペって面白い。そしてコンペのお題を設定するのって、センスが問われる。これは良いコンペですね。
ちょっと、与太話。建築家・安藤忠男さんの出世作となった住吉の長屋という作品があって、その作品で安藤さんは吉岡賞という建築界の新人賞を受賞されたんですが、その作品がとても面白い。何が面白いかというと、細長くて狭い敷地に無理に中庭を設けることによって、一般的な考え方だと機能が破綻している。夜、寝室からトイレにいくのに、雨が降っていると傘をさしていちど外に出て渡り廊下を通らないといけない、というような。
何が言いたいかというと、建築は、構造物をつくるようでいて、その中の空間をデザインしている。空間をデザインしているようでいて、そこで起こる行動をシミュレーションしている。もっというと、その行動から生まれる感情を創造している。機能は破綻していても、「狭くてもいいから、中庭があって、そこから見える『自分だけの空』があることに価値があるんだ」と。ハードの設計だけでは見えない本当の価値までデザインすることの重要性。
自分自身も、注文住宅とマンションの間くらいのコーポラティブハウスという共同住宅に住んで早7年ですが、住まい方はどんどん変わっていきますし、これから人口が減っていく中で、これを逆手にとって、楽しく新しい住まい方を考えていきたいですね。色々と妄想。確かに賃貸は見た目はそこそこ綺麗でも、断熱性能や防音性能が低い物件が多い。居住者はもはや所有にはこだわらない時代がやってくるのだろうが、果たして良質な住環境は本当に提供されるのだろうか?
個人にリスクを分散し、超低金利で良質な住宅を増やしてきているとも言える。居住者が所有しないと言うことは、どこかの投資家が所有し収益を得る。果たして良質な住居の提供と投資家を納得させる収益の両立は可能何だろうか?
かなりレベルの高いチャレンジをされているが、達成されれば間違いなくバリューラインが引き上げられるイノベーションだ。今後とも注目していきたい。個人的にはアメニティが充実した賃貸住宅って有りだと思ってます。共有部分の充実。きっと客付け会社はこんな高い管理費受け入れられないとか言う人は多そうだけど。単年利回りだけ追うと実現できないけど、30年40年スパンで考えて空室率や家賃下落率など考慮したら差別化できて有りなのかなと何となく想像中。