[東京 6日 ロイター] - ソフトバンク<9434.T>と東京大学は6日、AI(人工知能)を研究する「Beyond(ビヨンド)AI 研究所」の開設と研究成果の事業化に向けた取り組みに関する協定を締結したと発表した。ソフトバンクとグループ会社は、研究に必要な活動資金や設備などを提供するため、事業益による還元分を含め、10年間で約200億円を投資する予定。

ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義会長兼社長は、AI時代を迎えるにあたって技術や人材、企業が乏しいと指摘し、「東大と我々が組むことで学生が学ぶ機会を増やしたいし、起業のチャンスもどんどん提供したい」と述べた。東大の五神真総長は、東大が日本で一番トラディショナルな組織と思われているとし、「新しもの好きなソフトバンクと連携すれば、社会に良いインパクトを与えるのではないかと期待する」と語った。

研究所はまず約150人の人員で立ち上げ、東大と海外の有力大学の研究者を擁した最先端のAI研究機関を目指す。2020年春ごろに基礎研究領域を手掛ける拠点として東大キャンパスのある本郷(文京区)、同年冬ごろには応用研究領域の拠点としてソフトバンクが同年度中に本社を移転する竹芝(港区)の2カ所を開所する。

同研究所は医療や製造、公共・社会インフラなどの分野でAIを活用した事業化を短期間で狙うことを目標とし、実務性と機動性を備えたベンチャーの発射台としての役割を果たす。

中国や米国を中心に世界でAI競争が激化する中、日本企業は見劣りしており、ソフトバンクの宮川潤一副社長は「日本の技術者は非常に優秀だが、基礎研究レベルで終わっている。基礎技術の活用が必要」と指摘。AIを活用して「日本でも元気な会社づくりをしたい」と話した。

東大の藤井輝夫副学長は、ソフトバンクが手掛けるスタートアップ企業が世界規模で事業活動をしていることなどを踏まえ、「グローバルな支援も期待したい」と語った。

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(白木真紀 平田紀之 編集:内田慎一)