[ダブリン 29日 ロイター] - S&Pグローバル・レーティングは29日、アイルランドの格付けを「A+/A-1」から「AA-/A-1+」に引き上げた。同国の堅調な財政状況と経済成長を格上げの理由として挙げた。

見通しは「安定的」とし、「英国の合意なき離脱の可能性など国外のリスク要因にも関わらず、アイルランド経済は引き続き競争力や柔軟性を維持し、海外の投資家にとり魅力的な投資先であり続ける」と説明した。

米国などの保護主義的な貿易政策の影響を受ける可能性があるものの、そうした国外リスクを緩和できる財政的余裕があると説明した。

経済成長と雇用の伸びは先進国の中で最も堅調で、最近の成長鈍化にも関わらず、柔軟性のある労働・製品市場や移民流入により成長率は他のユーロ圏の平均を引き続き上回っていると指摘した。

アイルランドは、国内銀行の経営悪化や財政難から2010年に国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)から金融支援を受けたが、その後、急速な景気回復を果たし、ユーロ圏の中で特に高い成長率を維持している。

アイルランドのドナフー財務相は声明で「今回の格上げはアイルランドの過去10年ほどの旅が次の段階に入ったことを示している。昨年の財政収支は2007年以降初めて黒字化しており、今年さらなる改善が見込める」と語った。