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【激白】楽天経済圏の核心。カード事業の「大戦略」を教えよう
2019/12/3
楽天が自社グループの各サービス間でお金をぐるぐる回す「楽天経済圏」構想を発表したのは、2006年にさかのぼる。
今では、「LINE経済圏」「メルカリ経済圏」「ヤフー経済圏」などの言葉も定着している。
その経済圏同士の戦いは、Zホールディングス(ヤフー)とLINEの経営統合が11月に決定したことで、さらに激しさを増すだろう。
「楽天経済圏」の中心は、すでに楽天市場を筆頭としたEコマースにとどまらない。クレジットカードの楽天カードもその大きな役割を担っている。
楽天カードは、楽天グループのインターネットサービスで特典を受けられるだけでなく、通常のクレジットカードと同じように街の実店舗でも使え、ポイントがたまる。
楽天カードのショッピング取扱高は、現在では年間7兆5000億円に拡大し、楽天のEコマース事業の流通総額3兆4000億円を大きく上回っている(下図)。
さらに、業績面でも、クレジットカード事業の売上収益は、今や1400億円を超え、楽天市場単体の売上収益にも匹敵する規模に成長している。
70を超える事業を展開する楽天にとって、楽天市場と楽天カードは今や、お互いに成長をけん引する「両輪」だ。
そのクレジットカード事業を立ち上げから引っ張ってきたのは、楽天カードの穂坂雅之社長(65)である。
穂坂氏は、楽天本体では、三木谷浩史氏と並ぶ代表権のある取締役の一人でもある。つまり、楽天グループ全体で、三木谷浩史会長兼社長に次ぐナンバー2の人物だ。
穂坂氏は、2017年の取締役改革で“降格”されずに取締役に残った人物でもある。
2017年4月、三木谷浩史会長兼社長は、経営の最高意思決定機関である取締役会の「大改革」を行った。
15人いた取締役の座を8人に減らし、7人の取締役を執行役員に事実上の“降格”させた。
古株の山田善久氏(現・副社長執行役員)、トヨタ自動車出身の武田和徳(副社長執行役員)・百野研太郎(副社長執行役員)両氏、シスコシステムズ元社長の平井康文氏(副社長執行役員)、島田亨氏(USEN-NEXTホールディングス取締役)だけではない。
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この連載について
ECにクレジットカード、野球やサッカーのプロチーム運営まで。手がける事業がすでに70を超える楽天。2020年春には携帯キャリアとして本格参入する予定だ。売上高が1兆円の大台を超えた今も成長を続けるが、三木谷浩史社長率いるITメガベンチャーを取り巻く環境は厳しい。楽天は勝てるのか。
インターネットショッピングモール「楽天市場」を中心に、旅行予約サイト、ポータルサイト、電子書籍や各種デジタルコンテンツサイトなどを運営。FinTech事業では、楽天カードを中心に銀行、証券、電子マネーなどの金融関連サービスを手がける。楽天エコシステム(経済圏)のオープン化を推進。
時価総額
1.83 兆円
業績
ZホールディングスとLINEの経営統合に伴い、2021年にLINEから商号変更。ソフトバンクとNAVERが株式を50%ずつ保有する中間持株会社。
業績
2021年に旧ZホールディングスとLINEの統合によって誕生した持株会社。傘下にヤフー、LINE、ZOZOなど。直近は戦略事業と位置付けたFintech事業を強化。
時価総額
2.92 兆円