クリスマスはもうすぐだ。2020年に向けてやる気が湧いてくるような書籍を選び、心を込めて贈ろう。

2020年に向けて心構えを整える

誰もがきっとそうだと思うが、クリスマスを間近に控えた今、プレゼント購入リストにはさまざまな人の名前がずらりと並んでいるのではないだろうか。困ったことに、全員の好みがまちまちときている。うかうかしていると、ギフトカードをたくさん買って、それで済ませるということになってしまう。
友人やパートナー、メンター、同僚。相手が誰であろうと、じっくり考えて選んだ本は、素晴らしい贈り物になる。同僚、部下、上司を問わず、共通の趣味や関心事を通じて相手とつながることができる絶好の手段だ。それに、相手を思って選んだことが伝わるし、学び、成長する機会も提供できる。
とりわけ、1年を締めくくる時期に本を贈れば、もらった人は新年に向けて心構えを整えることができる。
私は自著『Top of Mind: Use Content to Unleash Your Influence and Engage Those Who Matter To You(最優先されるコツ:コンテンツを使って、影響力をフル活用し、顧客を惹きつけるには)』を上梓して以来、秋には売上が必ず伸びることに気がついた。まさに、クリスマスプレゼントを購入する時期だ。
今では毎年秋になると、私自身が贈り物として購入する本をリストアップして紹介している。プレゼントのアイデアがほしい人たちが、最適な本を見つけられるよう願ってのことだ。それでは、贈る相手を鼓舞できる良書を9冊紹介しよう。
1.『Elevate: Push Beyond Your Limits and Unlock Success in Yourself and Others(向上しよう:限界を超えて成功への扉を開く)』ロバート・グレイザー著
多くの人が、もっと成長したいと願っている。しかし、どこから手をつけたらいいのか見当がつかない。
マーケティング企業、アクセレレーション・パートナーズの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるロバート・グレイザーは本書で、能力を総合的に伸ばし、公私両面で意義ある目標を設定、達成できる万人向けの枠組みを説いている。
紹介されているロードマップはもともと、著書が毎週金曜に発行しているニュースレターで提唱されたものだ。インスピレーションを与えることを目的としたこのニュースレターは、世界中に10万人以上の読者がいる。
2019年10月1日に刊行された本書は、ダニエル・ピンクやマーシャル・ゴールドスミスを含む著名人から絶賛されている。
読者は、個人的な成長の道を歩んでいくなかで何度もこの本に立ち返り、自らの可能性を最大限に発揮するためのインスピレーションを得たり、実行可能なステップを学んだりできるだろう。本の形をしたメンターと言える1冊だ。
2.『Radical Candor: How to Get What You Want by Saying What You Mean(過激なまでの率直さ:思っていることを口にして、ほしいものを手に入れるには)』キム・スコット著
正直に認めよう。生きていれば誰だって、困難な話し合いに臨まなくてはならないことがあるが、私たちはそれを避け続けがちだ。しかし、そうやって「目先の平穏」を優先させていれば、長期的な成功が先延ばしになるだけだ。それを肝に銘じなくてはならない。
本書の副題からは、職場でのリーダーシップがテーマであるかのような印象を受ける。だが本書を読めば、職場の内や外に関係なく、明快で率直なフィードバックや対話が持つ価値について、誰もが学びを深めることができる。
グーグルとアップルの元経営幹部である著者のキム・スコットは、相手に敬意を示しながら建設的なフィードバックを提供する方法を披露している。そうしたフィードバックは公私を問わず、ほかの人の成長を促すとともに関係強化にも役立つ。
3.『Mean People Suck: How Empathy Leads to Bigger Profits and a Better Life(嫌なヤツは最悪だ:利益と幸福の向上につながる共感力)』マイケル・ブレナー著
マーケティング企業のCEOを務める著者マイケル・ブレナーは本書で、共感は利益を増やし、幸福を高めることにつながるという自らの哲学を説いている。
講演者としても有名なブレナーは、同僚や顧客との絆を築くことをテーマにしたスピーチをよく行っているが、本書でもその姿勢に変わりはない。そして「優秀だけど嫌なヤツ」を称えるべきだという神話はまやかしだと主張する。
2019年10月25日に刊行された本書は、「ほしいものを手に入れる」のではなく、親切な人間でありながら、成功のために必要なものを手に入れる方法を提案している。ほぼどんな人でも、読めば元気になれるだろう。誰だって、ここ1年のうちに少なくとも1度は、嫌なヤツに対処した経験があるに違いないのだから。
4.『The Self-Reliant Entrepreneur: 366 Daily Meditations to Feed Your Soul and Grow Your Business(自立した起業家になるには:魂に栄養を与えてビジネスを成長させるために、毎日取り組む366の瞑想)』ジョン・ヤンツ著
ベストセラー『Duct Tape Marketing: The World's Most Practical Small Business Marketing Guide(ダクトテープ・マーケティング:スモールビジネスのための実践的マーケティングガイド)』の著者ヤンツによる感動的な1冊。
起業家として歩んできた30年間の経験を土台にした本書は、起業家だけでなく、より充実感と喜びに満ちた人生を送りたい人すべてに最適だ。なぜ今の仕事に就いているのか、なぜ今の人生を送っているのかについて、深く考えさせられるはずだ。
2019年10月22日に刊行された本書では、日ごとの瞑想を1年分(366件)紹介している。これらに取り組めば、読者は日々の反省を通じて、自らを鼓舞し奮起させることができるだろう。
19世紀アメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローや、『若草物語』の著者ルイーザ・メイ・オルコットなど、起業家精神にあふれた著者やエッセイストの文章や名言も読める。読む人は、自分だけがこの世界にもたしうる才能を信じ、育もうという気持ちになれるだろう。
5.『Girl, Stop Apologizing: A Shame-free Plan for Embracing and Achieving Your Goals(女性たちよ、言い訳はやめよう:目標を掲げて達成するための大胆な計画)』レイチェル・ホリス著
数百万ドルの売上規模を誇るメディア企業、ザ・ホリス・カンパニーの創業者レイチェル・ホリスは、素晴らしいキャリアを築き上げつつ、女性が自らを解放して限界を乗り越え、最大限の可能性を発揮できるよう応援することにも邁進してきた。
『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー作家でもある彼女の最新刊は、最高の自分になるために、身につけるべき習慣、はねのけるべき「自分を制限する思い込み」、捨て去るべき言い訳について語る1冊だ。
本書は、読者が人生の重要な分野でさらなるサポートを獲得し、より充実感が得られるよう助けることを目指している。「おそらくそうなること」について許可を求めるよりは、「可能なこと」について許可を求めるべきだ。自分が必要なことを、罪悪感を持たずに要求するやり方について本書は説明している。
6.『The Gift Inside the Box(箱に入った贈り物)』アダム・グラント、アリソン・スウィート・グラント共著
『OPTION B(オプションB)逆境、レジリエンス、そして喜び』(邦訳:日本経済新聞出版社)の共著者であるアダム・グラントの最新作は、妻のアリソン・スウィート・グラントとタッグを組んで創作した、思いやりあふれるオリジナルの童話だ。テーマは、寛大さと無私無欲の姿勢が持つ価値である。
2019年10月1日に刊行された本書はとりわけ、周囲にいる子どもを持つ友人や知人、または子ども自身に贈るための1冊だ。
多くの子どもたちは現在、周囲を見て見ぬふりをするよう教える、さまざまな刺激に囲まれている。したがって、他人に与えること、他人を思いやり支えることの素晴らしさを子どもに教え諭すのは、早ければ早いほうがいい。
社会的やりとりがますます「取引的」になりつつある世界において、本書は共感を持ってもらうためのすばらしい1冊だ。
7.『マイ・ストーリー』ミシェル・オバマ著(邦訳:集英社)
言うまでもなく、贈り物としてこれ以上ない最高の1冊。2018年にベストセラーとなった本書は不朽の名作であり、贈る相手を問わない。元ファーストレディのミシェル・オバマが、これまで歩んできた人生を、私生活の詳細を含めて語った感動的なストーリーだ。
シカゴのサウス・サイドで過ごした幼少期から、組織幹部としてのキャリアと母親業を長年にわたって両立し、アメリカで初めてのアフリカ系ファーストレディになるまでの年月へと読者を誘ってくれる。
本書は、受け取る人がどのような政治観を持っていても、人が日々直面する苦労や、それを乗り越えるための意欲を高める方法について、深い洞察を与えてくれる。戦略と温かさが絶妙に入り混じっている点も好ましい。
8.『Can't Hurt Me: Master Your Mind and Defy the Odds(私は負けない:自らの心を制して逆境に挑む)』デイヴィッド・ゴギンズ著
『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーである本書は、一歩一歩着実に進歩することと、意志やビジョンによって誰でも人生を変えられることを思い起こさせてくれる、感動的な1冊だ。
米海軍の特殊部隊Navy SEALsと陸軍レンジャーの元隊員であったゴギンズが、貧しさと虐待、失意にまみれた子ども時代からいかに立ち上がり、陸軍のヒーローならびに持久力競技の記録保持者になったかが語られている。
贈る相手が、自身の成長を目指してインスピレーションを求めている人であっても、あるいは、レジリエンスと負けない意志を持つ人間の物語が大好きな人であっても、この本は最適だ。自らの姿勢をコントロールする手段を学ぶこと自体が贈り物なのだ。
9.『The Five-Minute Journal: A Happier You in 5 Minutes a Day(5分間ジャーナル:1日5分で幸福感を高めよう)』インテリジェント・チェンジ編
私たちの生活はめまぐるしい。自身の考えや感情を振り返ったり、感謝すべきことに思いを馳せたりする時間を見つけるのは容易ではない。
その点、「書く瞑想」とも呼ばれるジャーナリングは、日常生活で前向きな姿勢をとり、感謝を抱くのにもってこいの方法だ。その手始めとして、本書はまさにベストだと言えるだろう。
使い勝手のいい本書は、ジャーナリングを試してみようかと思案中の知人、友人すべてにふさわしい。本書に設定してある1日のフォーマットに沿って書くだけで、以前よりポジティブになれるし、集中力と充実感も高まっていくだろう。
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こうしたアイデアがあれば、贈りたい相手すべてにとって忘れ得ぬプレゼントが見つかるはずだ。それを飛躍のきっかけとして、素晴らしい1年が送れるだろう。
今年のクリスマスは、相手のことを心から思ったプレゼントを選んでみてほしい。大切な人を励まし、鼓舞できれば、単なる書籍にとどまらない贈り物となるだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:John Hall/Co-founder and president, Calendar、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:Dziggyfoto/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.