女性にパワーと収入を。タイ北部「麻薬密造地帯」の再生

2019/11/29

王族が乗り出した農村改革計画

それは1988年、ドイ・トゥン宮殿の誕生とともに始まった。
タイ北部の山岳地帯にある宮殿は、シーナカリン王太后(当時)のための離宮として建てられたもの。王太后は断続的に滞在していたスイスから、帰国の途に就こうとしていた。
この場所で毎年、一定の期間を過ごすにあたって、王太后は1つの条件を挙げた。公的な取り組みによって、焼畑農業によるケシ(アヘンの原料となる)の栽培で荒れ果てた森林を再生し、現地の人々にケシ栽培以外の収入源を提供することだ。
シーナカリン王太后の願いは、ドイ・トゥン開発プロジェクトを生み出した。
同プロジェクトは公共サービスとビジネス、社会事業のネットワークへと発展し、今ではコーヒー豆やマカダミアナッツ、陶磁器、布地、コウゾ紙などの製品を世界各地の企業に供給している。
(Robert TIXADOR/Gamma-Rapho via Getty Images)