[上海/ロンドン 22日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は22日、金融ハブの上海で暗号資産(仮想通貨)取引に関連する違法行為の取り締まりを強化すると発表した。前日には広東省深セン市の金融当局も同様の取り締まり強化を発表。政府は仮想通貨を支える基幹技術であるブロックチェーン(分散型台帳)の推進を表明しているが、人民銀は投資家に対し仮想通貨とブロックチェーン技術を混同しないよう警告した。

人民銀の上海支店は声明で、仮想通貨を巡り増大している違法行為の取り締まり強化を表明。「仮想通貨の発行や取引は多くのリスクをはらむ」とした。

人民銀の取り締まり強化表明を受け、仮想通貨ビットコイン相場は下落。ビットスタンプ取引所のビットコイン<BTC=BTSP>は一時9%安の6929ドルと、5月以来の安値を付けた。その後は7%安の7107ドルとなっている。

中国では習近平国家主席が10月25日、ブロックチェーンの技術開発の加速を表明。 ビットコイン相場は習主席の発言から2日間で約40%上昇した。ただ10月下旬以降、約30%下落している。

ロンドンに本拠を置く仮想通貨企業、NBKグループのポートフォリオ・マネジャー、ジェイミー・ファークハー氏は、人民銀が示した方針で、習主席が表明したブロックチェーン技術の推進にはビットコインなどの仮想通貨は含まれない公算が大きいことが示されたと指摘。「習氏の発言が市場で過大評価されていたと認識された」と述べた。

中国人民銀行(中央銀行)は独自の暗号資産、デジタル通貨電子決済(DCEP、Digital Currency Electronic Payment)の発行を準備中。フェイスブック<FB.O>が導入を計画している仮想通貨「リブラ」などがもたらす可能性のある脅威に対応することを主な目標としている。人民銀はこうした独自のデジタル通貨の発行に向けた準備を現在も継続していると表明した。