[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド新総裁は22日、ユーロ圏が域外経済の低迷に対抗するには、公共投資の拡大を通じた対応を含めて内需を強化する必要があるとの見解を示した。

ECBとして今後も「経済を支援し将来のリスクに対応する」一方で、緩和的な金融政策の「副作用」を監視すると改めて表明した。

ラガルド総裁は、中央銀行として今後も景気支援で役割を果たすと述べる一方、世界的な貿易摩擦により、ドイツを筆頭とした輸出主導の成長は突如終了したとして、ユーロ圏各国政府に内需強化を促した。

公共投資の重要性を指摘し、欧州全般でデジタル化と環境保護に資金を投じる必要性を強調した。

「投資のニーズは各国で異なるが、より生産的で、よりデジタル化と環境に重点を置いた共通の未来に向け、横断的な投資を考えるべき」と述べた。

前任者のドラギ氏は、ドイツなど黒字国に大規模な財政支出と投資を求めていたが、聞き入れられることはなかった。

また、ドラギ氏は主要な講演でECBの次の動きを示唆することが多かったが、今回ラガルド総裁はこれを踏襲しなかった。

INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「ラガルド氏は、早期にECB改革に着手するよりも、欧州の経済・政治のトップご意見番になれるという期待に応えた」と述べた。

ラガルド氏は、金融政策について、ECBの政策枠組みの見直しに「近く」着手すると確認。また、緩和策の副作用を注視しつつ、必要な流動性を供給する方針を示した。

「金融政策は引き続き経済を支援し、物価安定という責務にのっとり将来のリスクに対応していく」と述べた。

こうした発言で、ラガルド氏は、自らの位置を北部欧州の「タカ派」と南部欧州の「ハト派」のほぼ中間に置いたといえる。

ピクテ・ウェルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼト氏は、ラガルド氏について、同氏にとって初となる12月の理事会の後は、発言に具体性を持つことが求められると指摘したうえで「現段階で各種データはECBが政策スタンスを変更しなければならないほど弱くない」と述べた。