チャンスは一度、後戻りできない
キャリアについて大きな決断を下すとき、チャンスは一度きりで、後戻りはできない。悩みに悩んだあげく、後悔したい人などいない。そこで、より良い選択ができるように、諸先輩方の経験に学んでみてはどうだろう。
キャリア支援サイト「zety」が、経営幹部1000人を対象に実施した最新の調査では、大半の人(70%代半ばから80%代後半)がキャリアでリスクを取る選択をしたことを後悔していないと回答した。
以下は、そうした「キャリアリスク」を取ったと回答した人が多かった7項目である(カッコ内のパーセンテージは、そのリスクを取った経験があると答えた人の割合)。
1. 好きではない仕事をやめた(56%)
好きではない仕事に長い間とどまっていることほど、滑稽な話はない。そんなことを10年以上やっている人を、筆者は何人も見てきた。毎月の給料をもらってさえいれば、会社の中に埋もれて、自分の存在を忘れられたほうが楽だと思っている人たちだ。
社内で目立つ存在であったとしても、好きではない仕事を続けていれば、いつしか「顔のない社員」となり、事実上そこにいないのと同じになる。思い切ってやめるべきである。「人生は短すぎる」のだから。
2. 専門分野または業界を変えた(41%)
変化を求めるより、同じ業界にとどまっていたほうが安全だと考えているかもしれない。しかし筆者は、そのように「もしここから飛び出していたら、どうなっていただろう」と思いながら同じ場所にとどまっているほうが、リスクが高いと考える。
筆者のキャリアで最大の飛躍を見たのは、リスクを承知で賭けに出て、それまでとは違う業界の仕事を始めたときだ。他方、守りに入り過ぎていたときは失望の連続だった。長く働いていればわかるはずだ。失敗のリスクを恐れて距離を取っていては、成功する可能性のあるリスクには決して近づけない、と。
そのように考えれば、業界を変えるというキャリアリスクを取ってみることも視野に入ってくるだろう。筆者が取った最大のリスクは、有望な企業における高給の職を辞めてフリーになり、執筆や講演の仕事を始めたことだ。最も危険で、最も正しい決断だった。
3. 職場で問題を指摘する(39%)
対立を恐れて、幸せを逃すべきではない。問題を放置しておけば、悪化するだけである。職場の問題について勇気を振り絞って声を上げるのは、難しいときもあるだろう。そんなときは自分に2つの質問を投げかけてみよう。
「自分が声を上げた場合に起き得る最悪のことは何か」「自分が声を上げなかった場合に起き得る最悪のことは何か」
自分の声を押し殺した場合のほうが、ひどい結末が待っていることが見えてくるだろう。
声を上げても状況が変わらなかったとしても、自分は言うべきことを言ったのだと納得できる。そして、やはり状況が変わらないのなら、そこを去るべきだという暗示かもしれない。それもまた、自分が問題を指摘して声を上げるまで、わからなかったことだ。
4. 昇給の交渉をする(34%)
昇給の交渉にあたり、考えられる最悪の結末といえば、「ノー」と拒まれることぐらいだろう。それなら、リスクを取らない手はない。
人は往々にして、自分を過小評価しがちだ。自分の専門性で初めてお金を稼いでいこうとしている人たちが、そのように過小評価している姿を、筆者は多く見てきた。
5. 学校に戻る(27%)
学校に戻って勉強をし直すには、いまの安定した給与をあきらめねばならず、多くの人がそんな金銭的余裕を持ちあわせていない。しかし、お金の問題を抜きにすれば、人々は学習意欲や自分のスキルを磨きたいという理由から学校へ戻る。それは取るに値するリスクだ。
筆者はMBAを取るために安定した仕事を辞めた。後悔はないし、成功への足がかりとして、自分が下した人生最良の決断の1つだったと考えている。
6. 仕事のために引越する(24%)
筆者は外国への移住も含め、仕事のための引越を何回かやってきた。自分が好きな仕事のためなら、慣れ親しんだ土地を離れる寂しさも、引越しの煩わしさも、すぐに乗り越えるだろう。
もちろん、家族や友人と離れ離れになるのはつらく、簡単に乗り越えられるものではない。だが、そのように大切な人たちなら、連絡を取り合って物理的な距離を埋める手段をあなたは見つけるだろう。仕事のための引越を「新たな冒険」だとて前向きにとらえることも助けになる。
7. 情熱を追い求める/自分でビジネスを始める(22%)
この2つは、ほぼ同じである。自分の情熱を追求した結果として起業する人が多いからだ。
筆者は、会社を辞めて起業したいと考えている人たちをコーチングすることがある。彼らはすでに「なんでもっと早くに起業しなかったのだろう」と後悔している。だから、もし彼らが自分の夢をあきらめて会社を辞めないままだったら、どれだけ深く後悔するか想像がつく。
筆者のキャリアで最高の選択は、会社を辞めて執筆や講演の仕事を始めたことだ。
こう自問してみたらどうだろう。「この情熱を追い求めなかったら、私の仕事人生は不完全なままで終わるだろうか」と。とてもシンプルな問いだが、大きな一歩の始まりになるかもしれない。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Scott Mautz/Keynote speaker and author, 'Find the Fire' and 'Make It Matter'、翻訳:中村エマ、写真:francescoch/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.