リアルとデジタルの境目がなくなる。アフターデジタルの世界とは

2019/11/22
 最前線で活躍するイノベーターたちの講義をオンラインでお届けする動画講義『MOOC』。
 今回は株式会社ビービット 東アジア営業責任者・藤井保文氏の「アフターデジタル 中国が映すデジタル化の未来」を配信する。
 現在、日本でも声高に叫ばれているデジタルトランスフォーメーション。現在のビジネスをデジタルでいかにアップデートするか、大企業を中心に取り組みが進められている。
 しかし、世界に衝撃を与え続ける企業はデジタルの捉え方が大きく異なる。
 「すべてがオンラインになる」
 デジタル化が著しく進む中国企業では、この発想に基づいてサービスがローンチされていると考えられる。
 講師を務める藤井氏は、リアルとデジタルの区別がなくなる世界を「アフターデジタル」と呼ぶ。本講座では、アフターデジタル時代を生き抜くための考え方・ノウハウを「約3分×10回」でお伝えする。
 今回は無料公開中の第1話の内容と第2話以降の概要についてお伝えする。

アフターデジタルの本質

 藤井 今回は中国の事例を取り上げながら講義を進めてまいります。
 NewsPicksをご覧の皆様はご存知のとおり、中国にはデジタル化に成功した分野が豊富にあります。
 この中には、中国では可能でも、日本では労働力や法規制などの問題でそのままローカライズするのは難しい事例もあります。
 しかし本質はそこではありません。
 アフターデジタルの肝は「移動」や「食事」といったオフライン行動が、オンラインデータになってつながり、できることが変わることです。
 そして、このような動きが加速すると、オフラインの領域がどんどん無くなっていきます。
 昨今のデジタルトランスフォーメーションは、リアルをベースにデジタルを付加価値にするという考え方が多いように見えます。
 しかし、アフターデジタルの考え方に則れば、デジタルトランスフォーメーションも「デジタルありき」で考える必要があるのではないでしょうか。
 それでは、オフラインの領域が狭まることでリアルの接点は消滅するのでしょうか。
 私はリアルな接点も残ると思います。店舗ビジネスであれば、デジタルでつながりつつ、その流れで来店してもらう。
 そして、そこで信頼を得たり、感動してもらったりする「レア接点」になると予想します。
 とはいえ、むやみやたらにリアルな接点を作ればいいとは限りません。あくまでデジタルに包まれた「オンラインリアル」として位置付けるべきです。
 例えば、デジタルでどのような行動をしているかわかった上で接客すれば、顧客満足度を高めることができます。
 最近、アフターデジタルをテーマにご相談いただく機会が増えており、以下のようなご質問もいただきます。
 「データをどのように集めれば良いか」
 「テクノロジーをどのように使えばいいのか」
 データやテクノロジーはあくまで「手段」です。しかし、お話を聞いていると「目的化」しているのではないかという印象を受けることもあります。
 データを集めるためには、そのデータを生み出すサービスなどが「使われ続けている」必要があり、UXを改善し続けなければなりません。
 今回の講座ではUXをいかに高めるかについても重点的にお伝えします。

アフターデジタル時代の新常識

 「アフターデジタル 中国が映すデジタル化の未来」では、第2話以降でその内容を詳細に解説する。
 第2話以降のタイトル、内容は以下のとおり。
 アフターデジタルの世界において、重要になるのが「行動データ」の取得だ。
 飲食、移動、決済、中国のサービスはあらゆる行動データをもとに、アップデートし続けている。
 第2話では体験提供型ビジネスに欠かせない行動データの活用法について解説する。
 中国には体験提供型ビジネスを追求する保険会社がある。
 それが「平安保険」だ。平安保険はこれまで顧客接点が少なかった保険サービスを大きく変貌させ、注目を集めている。
 果たして、平安保険の驚愕のビジネスモデルとは。
 「これからはO2Oではなく、OMO(Online Merges with Offline)の時代だ」
 こう語る藤井氏は無人コンビニや自動車メディアを例にOMO思考の概念を紹介する。
 アフターデジタル時代を勝ち抜く鍵になるOMO思考。そのエッセンスが明かされる。
 アフターデジタル時代、アプリケーションを改善し続けるにはどうすれば良いのか。
 この条件として、藤井氏は「高頻度に顧客とのタッチポイントを作ること」を挙げる。
 なぜ顧客とのタッチポイントとの「頻度」が重要になるのか。決済プラットフォームとの関係などを交えて解説する。
 「アフターデジタル時代、店舗は『旗艦店』に集約され、『エンターテイメント』を提供する場へ変わる」
 藤井氏はこう指摘した上で、アリババ系のスーパーマーケット・フーマーの事例を紹介する。
 本講義ではアリババが構想する「リテイルテイメント」を通じて、アフターデジタル時代の「場」の役割を学ぶ。
 アフターデジタル時代、「人」が果たすべき役割は何か。
 藤井氏はデジタル化が進む事で、中国は逆に「人と人とのコミュニケーション」を重要視していると話す。
 我々日本人のイメージとは違う、中国の「人の役割」とは。
 「ファネルからジャーニーへ」
 アフターデジタルの世界では「属性ではなく『状況』をターゲティングすべき」と藤井氏は断言する。
 なぜ状況を踏まえたジャーニーを捉える必要があるか。講義を通じて紐解いていく。
 「ジャーニーの中には様々な接点を設計する必要がある」
 こう語る藤井氏は、それを実現している分野として音楽・映像ビジネスを挙げる。
 第9話は音楽・映像ビジネスの例を踏まえ、「いかに接点から行動データを取り続けるか」お伝えする。
 アフターデジタルへ転換していくにあたり重要な考え方がある。
 それが「より純粋な顧客価値を提供する」ことだ。
 純粋な顧客価値とはどのようなものか。顧客目線を踏まえて解説する。
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