【急進】温暖化をバックに台頭。「北欧産ワイン」の底力

2019/11/20

寒冷地が「ブドウの産地」に

ある暖かい秋の朝、スヴェン・モースガードは陽光降り注ぐ丘を上り、うねるように広がるブドウ畑を眺めた。収獲チームが、丈夫なソラリス種のブドウを次々と摘み取っていく。このブドウから、何千本ものデンマーク産白ワインとスパークリングワインが作られるのだ。
ほんの10年前までは、寒冷地に属するデンマークでワインを作るなど、まるで採算の取れないビジネスだと見なされていた。しかし、地球の気温が上昇するにつれて、スカンジナビア全域でワイン産業が隆盛の兆しを見せている。
このムーブメントを率いるのは、温暖化をチャンスに変えようともくろむ起業家たち。「スケアソガード・ヴィン」の創業者であるモースガードもそのひとりだ。
「今後10年間で、スカンジナビアのブドウ産出量はますます伸びるでしょう。一方、これまでワイン産業をリードしてきた国々は、さらなる減産に直面することになります」。黄金色に輝くブドウの房を手にしたモースガードは、そう語った。
スヴェン・モースガード(Charlotte de la Fuente/The New York Times)

過去15年でワイナリーが急増