ツェルマット、日帰り観光客を制限?
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日帰り観光客は、宿泊観光客に比べ観光消費額が少ない。
それにしても、日帰り観光客を制限するのはずいぶん、大胆な政策。
お土産屋さんや交通機関など、日帰り観光客で潤う業態もあるからだ。
日本で言えば、首都圏からも近い鎌倉は年間1900万人とも言われる観光客の数だが、その9割以上は日帰り客。
彼らの消費単価は2千円以内であり、宿泊観光客の平均単価五万円を大きく下回る。
しかし、鎌倉は風致地区条例で建物の高さ制限、容積率の制限が厳しくホテルにとっては収益性が難しいため、宿泊施設が増えない。
鎌倉で日帰り客を制限したら、単に寂れた田舎町になってしまうだけだろうなぁ、、悩ましい。オーバーツーリズム問題は人気の観光・リゾート地にとって大きな課題です。特に宿泊事業者と運輸事業者の収益性を考えれば利害が一致しないのは当然です。
ツェルマットはカーフリーリゾート(自動車が村内には入れない。馬車と電気自動車だけ)であり、そのロケーション(チューリヒ、ジュネーヴから公共交通で約4時間。車は隣のTäschまで、ツェルマットまでは登山列車)からすれば日帰り観光客にとっては不便なリゾート地でした。だからこそ、長期滞在のリゾート客を中心にした地域を形成出来たとも言えます。
また、「アジア人のグループは国内のほかの地域とは異なり、ツェルマットでは1~2泊する傾向があると話す。(記事から引用)」とある通り、これまでもアジアからの団体客はほとんど日帰りをしていませんでした。近年、アジアからの物見遊山型団体客が急増し、ツェルマットに泊まれない団体を中心にベルンなどの都市部から日帰りツアーが強行されています。
ツェルマットが凄いと思うのは「ツェルマット観光局は、観光客の混雑緩和策としてコミュニケーション、そして流動的な価格設定を挙げる・・・観光客がツェルマットで2晩以上過ごすような宿泊プランの提供を目指す」と話す。(記事から引用)」とある通り、観光局や宿泊事業者が中心となって既に手を打っていることです。しかも、オーバーツーリズムへの懸念はしつつも、行政や鉄道会社に対して一方的な問題解決を押し付けてもいません。基本的に宿泊事業者の自らの経営努力で日帰り客の滞在化に取り組んでいます。
アルプス有数の山岳リゾート地として、ユニバーサルツーリズムを実践してきたツェルマットとしては、日帰りのお客様に対しても満足度獲得のために手は抜きません。但し、天候に左右される山岳地だからこそ、日帰り観光客の満足度を得る難しさも理解しています。たった数時間の滞在でアルプスの山々が見えなかったとしたら満足度どころか印象まで悪くなり、SNS等で世界中に情報が拡散されます。
「どんなお客様でも良いので一人でも多く来て欲しい」と考えている観光・リゾート地は多いと思います。しかし、本当に必要なのは「当地での滞在を楽しみ、心から満足して頂ける可能性が高いお客様=当地に来て欲しいお客様」に選ばれ続けるための経営努力を地域として出来るかどうかではないでしょうか。ツェルマットでも、こういった問題があるんですね。
「多くの観光客は食事もとらず、数時間でこの町を後にしてしまうため、地元産業の収益につながっていない。
地元自治体はこうした懸念をそれほど深刻だとはしていないものの、問題解決に向け動き出している。」記事より引用
とにかく入込数だけを見がちな日本の観光地とは違うところを見せてくれますね。
ここから自分たちが取り入れなければならないことは「滞在地域の分散化のための情報提供」、「滞在時間を増やすための仕組みづくりだと思います。
いずれにしても決めるのはツェルマットの住民です。