【悲惨】ビジョン・ファンドが拡散した「おとり商法」の波紋

2019/11/17

「うまい話」に乗ったものの…

インド軍の退役将校スニル・ソランキーは5年間、ニューデリーの郊外で客室数20の「フォーサイト・ホテル」を経営してきた。
経営は安定していた。しかしソランキーは将来的に、利益の大きいビジネス客を呼び込みたいと考えていた。
そんなソランキーの元に昨年、インドのホテル事業を展開するスタートアップ「OYO(オヨ)」から、フォーサイトをOYOブランドのビジネス客向けフラッグシップホテルにしたいという話が持ち込まれた。
OYOの名称を使い、客室の販売をOYOのサイト限定で行うならば、予約があろうとなかろうと月々の室料の支払いを保証するという条件だ。
OYOの要求で、ソランキーは60万ルピー(8400ドル)を費やしてホテルの布張り家具を張り替え、リネンを新しく追加した。
しかし、ビジネス客は現れず、OYOは室料の支払いを停止した。そして今、ソランスキーは立ち退きを迫られている。
ソランキーが契約したOYOは、ソフトバンクが運営する史上最大のベンチャーキャピタル・ファンド、運用規模1000億ドルのビジョン・ファンドから資金提供を受けている。
そしてソランキーのように、ビジョン・ファンドの投資先であるスタートアップと契約を交わし、仕事を請け負った労働者や小規模事業者は膨大な数に上る。
OYOと契約したホテル経営者のスニル・ソランキーは、人の気配のないホテルで肩を落とす。(Saumya Khandelwal/The New York Times)

「貧乏くじ」を引く契約者