ジョー・ジョヴァンノーリは、ニュージャージー州を拠点に活動するシリアルアントレプレナー。サーチマーケティング企業9Sailの創業者で最高経営責任者(CEO)を務める彼は、Entrepreneurs' Organizationがニューヨークエリアで開催するビジネスプログラム「Accelerator」の参加者でもある。

このプログラムは起業家向けに、ビジネスを積極的に成長させ、経営に習熟するために必要なツールやコミュニティー、説明責任を与えてエンパワーすることを目的としている。

我々は、ミレニアル世代の擁護者であるジョヴァンノーリに依頼し、彼の世代について人々が知らない(しかし、知っておくべき)ことについて共有してもらった。

「スマホばかりいじっている怠け者」のイメージは本当か

僕らの世代は評判が悪い。「ミレニアル世代はとても怠け者だ」「スマホをいじってばかりいる」などと言われ続けてきた。一部の人たちにとって、会話のなかに「ミレニアル」という言葉が出てきた瞬間、最初に思い浮かぶのがこうしたイメージだ。
だが、こうした一般論を鵜呑みにするのは、あまりに短絡的で狭量だ。多くの人々が気づいていないものの、ミレニアル世代が行なっているよいこと、彼らが貢献していることはたくさんある。
以下では、ワークライフバランスに対するミレニアル世代のアプローチに影響を与える、6つの驚くべき要素をまとめた。
1. ミレニアル世代の平均的な大卒者は、卒業時に4万ドル(約435万円)近くの借金を抱えている
もっとずっと多くの借金を抱えている人も多い。前の世代の基準に従おうとする学生たちは、開始の時点で経済的に後れを取っている。借金の山を背負いながら、はしごのいちばん下の段から社会に足を踏み入れるのだ。
こうしたことは、多くの人に「闘うか、それとも逃げるか」といった反応を引き起こす。パニックになるか、クリエイティブになるかのどちらかだ。
2. ミレニアル世代は副業を持っている
僕らの世代は、借金苦に陥っている。だから、その共通の問題を通して、すぐに仲良くなれる。会話はだいたい、こんなふうに始まる。「どこで働いているの?」
そして、これに続くのが「副業は何?」だ。ミレニアル世代は、その前の各世代の2倍ぐらい一生懸命に働いているのだ。
そうは見えないかもしれないが。昼間は会社で働き、ビジネスの世界で一歩抜け出そうと努力している。だが、それで一日は終わらない。家に帰ったら、ミレニアル世代の多く(「ほとんど」とまでは言わないが)は副業に精を出す。
次の「絶対必要なアプリ」のアイデアを練る人や、スモールビジネス向けのウェブサイトを立ち上げる人、なかには副収入を得るために給仕の仕事をする人もいる。
大学を卒業し、バックパック旅行で一夏かけて欧州を一周すると、学生の日々は終わる。そして、多額の借金を返すために働き始める。沈んでしまわないために、できることは何でもしなければならない。そして、僕らはそれを信じられないほど効率的にやってのけている。
3. ミレニアル世代はネットに常時接続しているが、それが強みだ。
あなたの目の前でいつもスマホをのぞき込んでいるその「青二才」は、前の世代が想像していた以上に情報にアクセスできる。そしてその結果、わずかな時間でタスクを完了させることができる。
キーを何度か叩くだけで取引を成立させる。iPhone1台でウェブサイトを作成、編集できる。テクノロジーの力は、疑う余地のない優位性をミレニアル世代にもたらしている。そして僕らはそこに、自分たちの未来を託している。
4. テクノロジーはミレニアル世代に、多くのことを少ない時間でできる力を与えてくれる
テクノロジーと、それが持つ利点を活用すれば、そこから時間という贈り物が得られる。旅行するための時間、外に行ってエクササイズするための時間、友人たちとクラフトビールの醸造所やワイナリーを訪れるための時間。そうした時間の過ごし方が、クラフトビールやクラフトカクテルのブームを後押ししている。
また僕らは、家族と過ごす時間やコミュニティーへの貢献を優先してもいる。「怠け者」からは、これ以上にないくらいかけ離れているのが、僕らなのだ。
5. ミレニアル世代は、これまでとは違う働き方をする
ミレニアル世代はネットに常時接続しているし、これからもずっとそうだ、というイメージを僕らは確立した。そんなふうにして、僕らは人間関係を築き、育んでいる。そんなふうにして、僕らは職場でも家庭でも「やるべきこと」をやっている。
手に持ったスマホであれ、カウンターに置いたラップトップであれ、ミレニアル世代は仕事の世界とのつながりを保つための方法を見つける。仕事が終わったあとや週末に、家族や友人と時間を過ごしているときでさえ、そうだ。
会社という職場に対して僕が抱いている疑問は、「ミレニアル世代が、何かにつけて以前とは違うやり方をしたとして、なぜそれが問題なのか?」ということだ。
僕らは違う働き方をする。僕らの働き方のほうが優れているかもしれない。率直に言って、重要なのは結果だ。僕らは結果を出している。
6. ミレニアル世代は勉強熱心で、メンタリングに対してオープンだ
ミレニアル世代に関する一般的な誤解として、僕らは人の話を聞かないし、聞きたがらない、というのがある。
個人的なことを言わせてもらえば、僕は経験豊富な人に出会うと、スポンジのように吸収しようとする。重要な経営判断を、教育と知識に基づいて下せるように、彼らからあらゆることを吸収したいと思っている。
たしかに、ミレニアル世代が学ぶべきことはたくさんある。しかし同時に、提供できることもたくさんある。
*   *   *
職場におけるミレニアル世代の数はいまや、先行する世代の数を上回っている。これから年月が経つにしたがって、この比率はますますミレニアル世代に有利な方向に進んでいくだろう。僕らはいま、進歩とイノベーションを推進している。それが僕らが知っているすべてだからだ。
スマホに夢中なせいで、僕らは人に興味を示さないと思っている人もいるかもしれないが、それは間違いだ。
たしかに僕らは、ネット接続を保つことやテクノロジーを使って問題を解決したりすることに忙しい。けれども、人間関係を築くことにも意欲的だ。相手が新しい考えやワークスタイルに対してオープンでいるならば、新しい視点も受け入れる。
未来は明るい。ミレニアル世代は、マネジメント職に就くようになりつつあり、ビジネス界をテクノロジーファーストでリードしつつある。
あなたも、ミレニアル世代は怠惰だという通説を信じて嘆くのではなく(こうした通説が、すでに一掃されていることを願うが)、ミレニアル世代が職場にもたらすプラスの面について、そして彼らの才能を活用する方法について、考えてみてはいかがだろうか。
ともに協力しあい、それぞれの強みをひとつにしよう。そして、すべての世代のプラスになる素晴らしいアイデアを生み出そう。
ミレニアルという列車はいま、出発のときを迎えようとしている。僕らといっしょに旅立ち、対立ではなく、協力することに焦点を合わせようではないか。あなたはもうその列車に乗車しただろうか?
原文はこちら(英語)。
(執筆:Entrepreneurs' Organization、翻訳:ガリレオ、写真:PeopleImages/iStock)
©2019 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.