[香港 15日 ロイター] - 香港政府が発表した第3・四半期の域内総生産(GDP)改定値は季節調整済み前期比で3.2%減と、速報値と一致した。

長引く抗議デモや米中貿易戦争の影響で、第2・四半期に続き第3・四半期もマイナス成長となり、10年ぶりにリセッション(景気後退)に陥った。

第3・四半期のGDP改定値は、前年比では2.9%減。速報値と一致した。2008/09年の世界的な金融危機以降で最低となった。

デモが収束する見通しが立たないなか、アナリストは、世界金融危機時や、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2003年よりも深刻で期間も長い不況に陥る可能性を指摘する。

香港政府は声明で「香港での社会的問題が消費関連の活動に深刻な悪影響を及ぼし、経済見通しの悪化が消費・投資マインドを冷やし、第3・四半期は内需が著しく減退した」と表明。

2019年の成長率予想を0─1%からマイナス1.3%に下方修正した。マイナス成長となれば2009年以来となる。

政府は「経済回復には、暴力を終わらせ、平静を取り戻すことが極めて重要。政府は引き続き、状況を注視し、必要に応じて企業を支援し保護する措置を講じていく」とした。

香港では、抗議デモの影響で観光客が予約をキャンセル。商店の販売が急減し、株式市場も低迷している。中国経済の減速や米中貿易摩擦の長期化も影を落としている。

8月の小売売上高は前年比23%減と過去最大の落ち込みを記録。9月も18.3%減だった。

企業活動も低迷。IHSマークイットの10月の購買担当者景気指数(PMI)は21年ぶりの低水準で、中国本土からの需要が1998年の調査開始以来最も大幅な減少となった。[nL3N27L0V6]

香港政府は8月以降、景気対策をいくつか打ち出している。ただ、米ドルにペッグする香港ドルを支援する資金を確保しておく必要もあり、これまでの対策は比較的小粒なものにとどまっている。