[上海 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は15日、1年物中期貸出ファシリティー(MLF)を使った予想外の公開市場操作(オペ)を実施し、金融機関に資金を供給した。金利は前回水準で据え置いた。

人民銀のウェブサイトによると、2000億元(286億ドル)を供給し、金利は3.25%と、前回と同水準に維持した。

人民銀は前週にMLFを通じた資金供給を行ったばかりだったため、市場にとっては予想外の動きだった。複数のトレーダーからは、14日遅く以降に短期金融市場の流動性がやや逼迫し、金利が上昇した状況に対応した措置だったとの声が聞かれた。

人民銀は通常、満期を迎えるMLF融資がある時にMLFで公開市場操作を行うが、この日は、満期を迎えるMLF融資やリバースレポはない。

華宝信託のエコノミスト、ニエ・ウェン氏は、人民銀が年初から複数回にわたり市中銀行の預金準備率(RRR)を引き下げているにもかかわらず、流動性不足が解消されていないため、MLF融資による資金供給が行われたと分析。

消費者物価の高い伸びを理由に当局は当面、利下げを見送るとみられるとした上で、「10月の弱い融資実績のデータなどを踏まえると、人民銀は経済成長を支えるために、少なくとも流動性は供給する必要がある」と述べた。

消費者物価の伸び率は高水準だが生産者物価指数は下落を続けているため、企業の実質的な資金調達コストは高いままだと指摘した。

人民銀行は先週、MLFを通じて4000億元(569億2000万ドル)を供給していた。金利は3.25%と、前回の3.30%から引き下げた。MLF金利の引き下げは2016年2月以来だった。

中国の新たなローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)は、MLF金利に連動しているため、中国の銀行トレーダーは、来週20日にLPRが5ベーシスポイント(bp)引き下げられる公算が大きいと述べた。

上海短期金融市場では、14日の取引で7日物レポ金利(加重平均)<CN7DRP=CFXS>が3.4%に上昇し、10月の国慶節(建国記念日)に伴う連休直前の9月30日以来の高水準を付けた。15日午前の取引では2.7481%に低下した。

人民銀は、MLF融資に加え、対象を絞った預金準備率引き下げで放出された資金によって納税期日のような資金需要増の要因が相殺され、銀行システムの流動性は「適度に潤沢」に維持されているとの見解を示した。

この日は、人民銀が9月に発表した対象を絞った預金準備率引き下げ第2弾の実施日だった。

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