[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した10月の小売売上高指数は前月比0.1%低下し、前年比では3.1%上昇した。ロイター調査によるエコノミスト予想は前月比0.2%上昇、前年比3.7%上昇だった。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る混乱にもかかわらず個人消費はこれまで比較的堅調に推移し、英国経済を支えてきたが、12月12日の総選挙を前に予想外の落ち込みを見せた。

8─10月の小売売上高指数は、5─7月と比べて0.2%上昇。これは2018年2─4月以来の低い伸びとなる。前年同期比では2.9%上昇だった。

基調的な消費需要を示すとされる自動車燃料を除く指数も依然として弱く、ロイター調査で得られたエコノミスト予想を全て下回った。

ONSの報道官は「販促イベントやクリスマス製品の投入前倒しの効果で、デパートは10月に持ち直した。それでもなお、より長期的にみるとかなり落ち込んでいる」と指摘した。

先行き不透明感から投資を手控える企業が多いのとは対照的に、低インフレや賃金の伸びを背景に英国の消費者はこれまでブレグジットの混乱の影響を受けず、英国経済を支えてきた。

しかし、政局の混乱が続き、12月12日に総選挙を控えて消費者も慎重姿勢に傾き始めている兆しがうかがわれる。

アクセンチュアの小売部門責任者、リンダ・ペザリック氏は、10月の小売売上高指数を受け、「不確実性に満ちた1年間を経て小売セクターが課題に直面していることを示している」と述べた。

スーパーマーケットのセインズベリー<SBRY.L>は前週、クリスマスまでは好調な売れ行きが期待できるものの、2020年に入ってもまだブレグジット問題が解決されていなければ消費者の間に失望感が広がる恐れがあるとの見解を示した。

ベビー用品販売チェーン大手のマザーケア<MTC.L>は5日、英国内の店舗をすべて閉鎖すると発表した。これにより少なくとも2500人の雇用が失われるという。

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