[香港 13日 ロイター] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループ<BABA.N>は13日、香港市場への株式上場手続きを開始した。このIPO(新規株式公開)で134億ドルの調達を目指す。

ロイターが入手した条件に関する書面によると、上場日は11月26日。

目論見書案によると、アリババは調達資金を食品宅配サービス「Ele.me」や旅行サイト「フリギー」の投資に活用する方針。また、中国最大手のオンライン動画サービス「Youku」への投資も強化する。

関係筋によると、機関投資家向けのブックビルディングは1週間続き、公開価格は20日前後に決定されるという。

今回の上場は、長引く抗議デモや米中貿易戦争の影響で、10年ぶりにリセッション(景気後退)に陥った香港経済を後押しすることが期待されている。

アリババは当初、8月に香港に上場する方向で準備していたが、抗議活動の激化で棚上げにしていた。

関係筋は、激化するデモによって香港の金融市場の地合いが悪化しているにもかかわらず、アリババは克服できると確信していると話した。

アトランティック・エクイティーズのアナリスト、ジェームズ・コードウェル氏は、米中通商協議が今後数週間で合意に至る可能性が高まっていることがアリババ上場を支援すると指摘。追加売却が重しとなる可能性はあるが、長期的に見れば投資家層の拡大が株価を下支えすると述べた。

IPOによる資金調達額は当初150億ドルと予想されていた。同関係筋によると、まず最大5億株を売却。グリーンシューオプションが行使された場合の追加売却も加えると、資金調達額は最大134億ドルになるという。

ディーロジックのデータによると、調達額134億ドルは香港では過去9年余りの間で最大。また別の国で新たに上場するケースとしては過去最大規模という。

目論見書案では、アリババはクラウドや機械学習の分野への投資も強化する意向。同社は中国国内で、傘下の金融会社アント・フィナンシャル・サービシズの顧客など、9億6000万に上る「デジタル経済ユーザー」を有しているという。

今年6月末までの1年間の売上高は4108億人民元。会計上の総資産は1兆0100億元。

*内容を追加しました。