Google、病院グループ大手Ascensionの数千万人の患者データに合法的にアクセス
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法的な側面はここでは置いておくとして、もしこれが真実であるならば、最近の中国での華々しい人工知能開発をはるかに凌駕する驚異の（そして脅威の）プロジェクトだと思います。世界の医療をリードしてきた米国ですから、この規模の動きがあっても不思議ではありません。
後ろ向きのデータ解析からバイアスを可能な限り取り除く最大の解決策は数です。数があればあるほど、より多くの交絡因子を取り除くことができ、より真実に近づくことができます。
数千万人規模のデータを一気に解析することにより、医療界がこれまで明かすことのできなかった様々な危険因子と病気の関連性、病気と寿命の関連性、薬剤の有効性などがより真実に近い形で明らかになるはずです。数千人、数万人規模で行われている既存の研究とは桁が違います。
このような機械学習に基づいた人工知能は、自分の寿命を効率よく伸ばすためには、どう動き、どの病気をどう治療すれば良いのかということをより的確に知らせてくれるでしょう。
一方で、単一企業による大規模開発により、大規模な利益相反行為につながる可能性を強く懸念します。
また、機械学習およびその過信は、人の感情や価値観、slow thinkingのプロセスを置き去りにします。仮に素晴らしい人工知能が開発されたとしても、医療が益々ブラックボックス化し、無機質な決定に終始してしまう危険な世界を避けるため、あくまで補助ツールであるということを医師側も患者側もしっかりと認識しておく必要があると思います。ここからなにが生み出されるのか、めっちゃ楽しみですね。
そしてこれが、当事者たちには知らされておらず、かつ合法、というのがどういうからくりなのか分かりませんが、すごいです。
今の日本ではおそらく不可能なことをやってのけてますね。ナイチンゲールは統計学によって、衛生管理という、今では当たり前の視点を提供し、医療の歴史を変えた。また、女性がより差別されていた世界で、統計学という科学的に疑えない武器で戦ったことも、ナイチンゲールの特徴でもあった。彼女の名前を冠したプロジェクト名に、グーグルの強い意思を感じる。当然、データは誰のものかといった倫理的な問題もあるだろうが、人類には、もっと安価で新しい医療が必要だ。関係各位には、頑張ってもらいたい。
