[東京 11日 ロイター] - 自民党の甘利明税制調査会長は11日都内で講演し、アベノミクスの物価目標2%の達成は非常に厳しいと指摘、個人的見解として「(物価)1%でも、デフレ脱却と言っていいのではないか」と述べた。

安倍晋三首相の任期については「あと2年しか首相をやらないようだ」としつつ、トランプ米大統領は再選される可能性が高く、「個性の強烈な米中ロ首脳と手をつないで世界をまとめられる人はなかなかいない」と指摘、首相が任期で辞任しようとしても、海外首脳から慰留される可能性があるとの見方を示した。

安倍首相が先週末指示した経済対策に関連し、「昨年より今年の経済がよい状況とはいえず、昨年より劣後する経済対策に意味があるか検証が必要」と述べ、大規模な対策の必要性を強調。「消費増税後と東京五輪・パラリンピックまで(需要)をどうつなぐか、五輪・パラリンピック後をどうするか、今から考える」と指摘した。

さらに、企業の現預金を「M&A(企業合併・買収)など前向きな投資に促進する税制を議論したい」と述べた。

安倍政権の経済政策の基本姿勢は「成長なくして財政再建なし」としつつ、「今はやりの現貨幣理論(MMT)にはくみせず、きちんと財政再建に配慮する」と語った。

対日投資を巡っては、日本企業を買収するため、海外勢による意図的な株価下落工作があり得ると指摘。「日本はこれまでお人よしだった。米国は経済とインテリジェンスが密接に連携している」と述べ、経済安全保障の観点でインテリジェンス機能の強化が急務と強調した。

*内容を追加しました。

(竹本能文 編集:内田慎一)